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「東の横綱」から「令和の一人横綱」へ 桐蔭学園、選手自ら考えるミーティングで掴んだ頂点【高校選抜ラグビー】

次に目指すは「春冬連覇」での花園3連覇

 決勝前のミーティングは「すべて選手たちに任せることができた」と藤原監督。選手たちが意見をぶつけ合った結果「意志を持って攻める」ことをテーマに掲げ、空いたスペースを見つけて声をかけあい、全員で共有することを「やるべきこと」の1つにした。主将のフッカー堂薗尚悟(3年)は個で相手を崩して勝った昨年と比較し「今年は突出した選手はいない。だから、スペースを見つけて仕掛け、どんどん走り込んでいかないと勝てない」と話した。

 風下の前半こそ京都成章に再三攻め込まれ、ピンチの連続だった。それでも精度の高いタックルと組織的なディフェンスでしのぎ、終了間際には少ないチャンスを生かしてプロップの喜瑛人(2年)がトライ。後半15分過ぎからは相手の足が止まってできたスペースを次々と突き「意志を持って」一方的に攻めた。

 完封勝利にも藤原監督は「前半はトライされても仕方なかった。たまたまです」と謙虚だが、準決勝から連続完封での優勝は選抜大会では初。花園でも1982年度の国学院久我山以来ない。ミーティングのやり方を変え、やるべきことが整理された結果。「大会中に、だいぶ成長したとは思います」と同監督は目を細めた。

 もちろん、基本的なスキルもある。この日精度の高さを見せたタックルを受けた後のパス(オフロードパス)は「遊びのように見える練習」(藤原監督)を繰り返して磨いた。身体の使い方を学ぶため、パリ五輪で金メダルを量産した日体大レスリング部へ「出げいこ」したことも。そして「自ら考え、判断するプレー」の源は、桐蔭学園が大きな武器とするミーティングにある。

 桐蔭学園が次に目指すのは「春冬連覇」での花園3連覇だ。過去のデータでは、選抜優勝チームは花園でも強い。前日横浜が選抜優勝した高校野球では100年近い歴史で「春夏連覇」は7校が8回達成しただけだが、ラグビーでは選抜25年の歴史(うち東日本大震災と新型コロナ禍で2回中止)で5校が10回も「春冬連覇」している。

 藤原監督は「まだまだ、今回はたまたま勝っただけです。自分たちが強くないことは、選手たちも分かっている」と話したが、この優勝が自信になるのは間違いない。令和になってから選抜と花園11大会中6大会を制した桐蔭学園。「桐蔭学園流ミーティング」の質がさらに高まれば、今年も強さは本物になる。(荻島弘一)

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)


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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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