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競泳パリ五輪銀・松下和之に滲んだ“エースの自覚” 攻めた前半→後半失速も「進化は見せられた」

日本競泳陣の新エース、松下和之(19=東洋大)が圧倒的な強さで進化ぶりを見せつけた。世界選手権(7月、シンガポール)代表選考を兼ねた競泳の日本選手権最終日が23日、東京アクアティクスセンターで行われ、男子400メートル個人メドレーの松下は自己ベストを更新する4分8秒61で優勝。200メートルとの個人メドレー“2冠”を達成し、2種目で世界選手権代表に内定した。

松下和之(撮影は2024年)【写真:Getty Images】
松下和之(撮影は2024年)【写真:Getty Images】

競泳・日本選手権

 日本競泳陣の新エース、松下和之(19=東洋大)が圧倒的な強さで進化ぶりを見せつけた。世界選手権(7月、シンガポール)代表選考を兼ねた競泳の日本選手権最終日が23日、東京アクアティクスセンターで行われ、男子400メートル個人メドレーの松下は自己ベストを更新する4分8秒61で優勝。200メートルとの個人メドレー“2冠”を達成し、2種目で世界選手権代表に内定した。

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 スタートから積極的だった。最初のバタフライで飛び出して100メートルを55秒79でターン。2種目目の背泳ぎでも勢いは落ちず、前半の200メートルを2分を切る1分58秒97で回った。しかし、次の平泳ぎで「うまく乗れなかった」。最後の自由形にも響いてタイムを伸ばせなかった。

「日本新記録を狙っていたので」。萩野公介の日本記録(4分6秒05)に2秒半以上及ばずに悔しそうな表情を見せた。それでも、昨年のパリ五輪銀メダルの時の自己ベストを0.01秒更新。「進化しているところは見せられたと思う」と話した。

 チャレンジだった。パリ五輪の時は前半200メートルは2分1秒13で6番手。後半の猛追でメダルは手にしたものの、4分2秒95で金メダルのマルシャン(フランス)は遥かに先にいた。再び世界で戦うためには、さらに記録を伸ばす必要がある。まずターゲットは日本記録。突破するために勇気をもって前半から攻めた。

「課題として取り組んできた前半はよかったけれど、少し力んでしまって後半に響きました」と振り返った松下。このレースのタイムで前半を入り、後半パリ五輪の時のような泳ぎができれば日本記録更新は見えてくる。「まずは日本新を出さないと」と目標を掲げた。

 マルシャンは「まだまだ遠い」と言うものの、200メートルに続く400メートルの圧勝で「少しですが、見えてきたかも」。今大会、瀬戸大也は昨年末のケガなどを理由に欠場。この種目で過去3回世界選手権で優勝しているベテランが不在となり、松下への期待も大きい。「やれること、やるべきことをやっていくだけ」。日本競泳陣の新しいエースは、世界選手権、そして3年後のロス五輪に向けて闘志を燃やした。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)


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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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