完全リレー消滅、侍ベンチの空気は「ピリついた感じなかった」 快挙知る種市、無念の曽谷にかけた言葉
野球日本代表「侍ジャパン」は6日、京セラドーム大阪で「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本vsオランダ」を戦い9-0で完勝。このシリーズを2連勝で終えた。リレーした6投手が、8回2死まで走者を1人も出さないパーフェクト投球。1年前、欧州代表を相手に演じた完全試合リレーの再現が期待されたが、ボテボテの内野安打で達成ならず。両方の試合で好投したのが、この日先発した種市篤暉投手(ロッテ)だ。唯一ヒットを許した曽谷龍平投手(オリックス)の心情が、手に取るように分かったという。

伝えたい投手としての信念「走者は何人出してもいい」
野球日本代表「侍ジャパン」は6日、京セラドーム大阪で「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本vsオランダ」を戦い9-0で完勝。このシリーズを2連勝で終えた。リレーした6投手が、8回2死まで走者を1人も出さないパーフェクト投球。1年前、欧州代表を相手に演じた完全試合リレーの再現が期待されたが、ボテボテの内野安打で達成ならず。両方の試合で好投したのが、この日先発した種市篤暉投手(ロッテ)だ。唯一ヒットを許した曽谷龍平投手(オリックス)の心情が、手に取るように分かったという。
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スタンドのどよめきはどんどん大きくなり、3ボールとなってからは投手を励ます拍手が続いた。8回から登板した曽谷は2死後、オランダの6番打者クローズと対戦した。フルカウントから2球ファウルで粘られた後の8球目、内角スライダーは三塁線に転がるボテボテのゴロに。三塁手の太田(オリックス)が猛チャージして一塁送球したものの、間に合わなかった。Hランプが点灯し、完全リレーは途切れた。
その瞬間のベンチの空気を、先発して2回を投げていた種市は「曽谷は緊張しているだろうな……と思っていましたけど、そんなにピリついた感じはなかったですよ」と証言する。後続をきっちり抑えて、ベンチに戻ってきた曽谷には「ハードラック」とだけ言葉をかけた。昨年の完全リレー達成時、同じ立場に立たされていたのが脳裏によみがえった。
昨年3月7日、場所も同じ京セラドーム大阪で行われた欧州代表との強化試合は、日本の5投手が1人の走者も許さないまま8回を迎えた、ここで6人目としてマウンドに上がったのが種市だった。2回を投げ3奪三振。走者を1人も出すことなく、完全試合リレーの最後を締めたのだ。
「一番僕が緊張していましたよ」と振り返る中でもきっちり結果を残せたのは、ある信念があるからだ。「何人走者を出しても、僕らは点を取られなければいいんです」。チームの目的は完全リレーの達成ではなく、勝つこと。手段と目的を混同せず、きっちり仕事を果たしてきた。
ド緊張のマウンドから1年。この日は先発としてまた違った姿を披露した。直球の最速は155キロ。大リーグ通算134発のグレゴリアス(元ヤンキースなど)にも直球勝負を挑み、三邪飛に抑えた。日本代表の井端監督も「去年は今日の曽谷のようなところで行ってもらったので、(決め球の)フォークボールしか見ていないなと。先発で、びっくりするようなストレートを見られて良かった」と、この姿からは収穫十分の様子だ。
「思い切りストレートを投げられましたし、出力も出ていた。キャンプでやってきたことを出せた」と手応えを口にした種市は「僕もWBCに出たい気持ちはある。出られるように、強烈なインパクトを与えられるようにシーズンも頑張ります」とあえて口にして、目標へと進んでいく。本番まで残された時間は1年。2023年の大会ではサポートメンバーだった経験を活かす舞台に、たどり着けるか。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)
