那須川天心、前世界王者モロニー撃破で6連勝 過去最強の相手と激闘「初めて効かされた」 WBO王者・武居へ「いつか戦いましょう」
ボクシングのWBOアジアパシフィック(AP)バンタム級王者・那須川天心(帝拳)が24日、東京・有明アリーナで119ポンド(約53.98キロ)契約ノンタイトル10回戦に臨み、前WBO世界バンタム級王者ジェーソン・モロニー(オーストラリア)に判定勝ちした。ボクサー転向6戦目で過去最強の相手。今秋以降の世界挑戦に向けて負けられない一戦を制した。戦績は26歳の那須川が6勝(2KO)、34歳のモロニーが27勝(19KO)4敗。

那須川天心VSモロニー
ボクシングのWBOアジアパシフィック(AP)バンタム級王者・那須川天心(帝拳)が24日、東京・有明アリーナで119ポンド(約53.98キロ)契約ノンタイトル10回戦に臨み、前WBO世界バンタム級王者ジェーソン・モロニー(オーストラリア)に3-0で判定勝ち(97-93×2、98-92)した。ボクサー転向6戦目で過去最強の相手。今秋以降の世界挑戦に向けて試練を突破した。戦績は26歳の那須川が6勝(2KO)、34歳のモロニーが27勝(19KO)4敗。
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初回から那須川は効かされた。終盤に右ショートを被弾し、膝が揺れたところで攻め込まれる展開。2回以降は手数を増やし、3回は左ストレート、左ボディーを当てるなど徐々に対応し始めた。圧力をかけてくるモロニーのパンチを自慢のスピードでかわしていく。しかし、6回開始直後だ。綺麗なワンツーを被弾。後ろによろけたが、尻もち寸前で耐えてダウンを免れた。
人生を懸け、ラッシュで攻勢を強める前世界王者と打撃戦。「来い!」と気迫のジェスチャーを取った。鼻血を流した7回、右アッパーを入れて反撃。8回は捕まえきれずに焦れたモロニーが「来い!」とアピール。9、10回は那須川がさばく展開が続いたが、終盤は打ち合いで幕を閉じた。
リングインタビューでは「こんばんは、那須川天心です! いやあ、皆さん、ありがとうございました」と観客に感謝。激闘については「ほんっとうにモロニー選手、予想通り、めちゃくちゃ強くて。こんなこと言ってはあれだけど、ちょっと初めて効かされたという感じ。あ、これか、みたいな。そんなに効いたわけじゃないけど、一瞬パンッってなった」とピンチを振り返った。
「すごく良い経験をさせてもらった。僕、打ち合いとかしたことなくて。初めて打ち合いをして、一人前というか、男になれたと思います。モロニー選手、本当にありがとうございます」と死闘を演じたモロニーに感謝。「可能性を見せられたと思います。試合中、こんなに楽しくなることがなくて。思わず凄いテンションが上がって。よっしゃ、やるぞ! みたいな、自分の可能性を試しながら戦った」とも振り返り、「どうですか、皆さん、観ていてハラハラしました? こんなアザができちゃって。すみませんね、顔で売っているのに申し訳ない」とジョークを飛ばす余裕も見せた。
那須川は格闘技戦績47戦全勝(キックボクシングは42戦)でボクシングに転向。メキシコ選手3人らと100回以上のスパーリングを重ね、右ジャブの精度アップを徹底してきた。現在の世界ランクはWBA2位、WBC3位、WBO3位、IBF13位。今秋以降のプロ8~10戦目に世界初挑戦することを想定してきた。
モロニーは2020年10月に井上尚弥(大橋)に7回KO負け。再起後5連勝で23年5月に世界王座に就いた。初防衛後、昨年5月の東京D興行で武居由樹(大橋)に判定負けで王座陥落。今回が再起戦だった。今月18日の公開練習では那須川に対し「6試合目で前世界王者と戦うのは大きなチャレンジ。彼にはこの挑戦が早かったとわからせてあげたい」と忠告していた。
この日、試合後のリングには武居が上がった。那須川は「武井選手とは、いろんな因縁というか、アマチュアの頃からたくさん試合をして、キックボクシングの時もザ・マッチという大会があった。その時はもうボクシングをやっていて、チャンピオンになった。僕は今、挑戦する立場。僕も必ず世界チャンピオンになるので、いつかどこかで戦いましょう、ボクシングルールで」と呼びかけた。
バンタム級の世界王座はWBCに中谷潤人(M.T)、IBFに西田凌佑(六島)、WBOに武居が就くなど日本人が主要4団体を独占している。この日は、WBA王者・堤聖也(角海老宝石)が同級4位・比嘉大吾(志成)に引き分け(114-114×3)で初防衛に成功。西田と武居も生観戦し、4団体の王者が勢ぞろいした。
(THE ANSWER編集部)