「40歳だけどカーリングはこれから」 激闘の日本選手権、男女ともにベテランが“新旧交代”阻む
カーリングの日本選手権が9日まで神奈川・横浜BUNTAIで行われ、女子はフォルティウスが3年ぶり3回目、男子はSC軽井沢クラブが2年ぶり11回目の優勝を果たした。フォルティウスは北海道銀行、SC軽井沢クラブはロコ・ソラーレと若いチームを退け、ともに9月に行われる五輪日本代表候補決定戦に進んだ。

カーリング日本選手権
カーリングの日本選手権が9日まで神奈川・横浜BUNTAIで行われ、女子はフォルティウスが3年ぶり3回目、男子はSC軽井沢クラブが2年ぶり11回目の優勝を果たした。フォルティウスは北海道銀行、SC軽井沢クラブはロコ・ソラーレと若いチームを退け、ともに9月に行われる五輪日本代表候補決定戦に進んだ。
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初の首都圏開催、8日間の激闘を締めくくる決勝戦は、男女とも「経験豊富なベテラン」対「勢いのある若手」の顔合わせになった。女子は延長にもつれこむ激戦、男子も最終10エンド(E)で決着する接戦の末に「26年ミラノ・コルティナ五輪」代表に望みをつないだ。
4人の平均年齢31・8歳、33歳の吉村紗也香をスキップに、14年ソチ五輪代表の小野寺佳歩、10年バンクーバー五輪代表の近江谷杏菜を擁するフォルティウスは、平均22歳の北海道銀行の挑戦を受けた。
もともと北海道銀行の支援を受けて「北海道銀行フォルティウス」として活動していたが、21年にスポンサー契約が終了。その北海道銀行がフォルティウスから移籍した伊藤彩未、田畑百葉を軸に新たに結成したのが同行カーリング部。フォルティウスにとっては「10歳離れた義理の妹」との対戦だった。
10Eで追いつかれたものの、有利な後攻で延長の第11Eを迎えられるフォルティウスは落ち着いていた。産休後に復帰した吉村は、勝利を決めるラストショットをハウス中央に収め「どんな場面でも冷静でいられた」と精神面の成長を口にした。
男子も18年平昌五輪を経験するサード山口剛史がスキップを務めるSC軽井沢クラブが、22歳以下で構成される相手を下した。「まだ足りなかった。もっと成長しないと」と泣き崩れるロコの22歳スキップ前田拓海に対して、40歳の山口は「まだまだ若い選手には負けない」と言い放った。
経験が大きな武器となるカーリング。前回の北京五輪では、ロコ・ソラーレの石崎琴美が43歳で冬季大会日本人最年長メダリストになるなど長く一線で活躍できる競技だ。山口も「40歳だけど、カーリングではこれから」と鍛え抜かれた胸を張って言った。
五輪への夢がついえたロコの前田と北海道銀行の仁平未来は「もっと強くなって戻ってくる。4年後は圧倒的な力で勝ちたい」と同じ言葉で再起を誓った。ともに、まだ22歳。今大会での新旧交代こそならなかったが、カーリング人生はまだまだ長い。
SC軽井沢クラブとフォルティウスは五輪国別出場枠を争う来月の世界選手権に出場。ここで出場枠が得られれば、男子はSC軽井沢クラブとコンサドーレ、女子はフォルティウスとロコ・ソラーレ、SC軽井沢クラブが9月の代表決定戦で出場を争う。世界選手権で枠が得られなかった場合は、同大会の勝者が12月開催の世界最終予選で出場権獲得を目指す。
(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)
