打率.200、本塁打0…たった一人で台湾表彰式を見つめた清宮幸太郎、洗礼を成長に変える“信条”
「やっぱり五輪もWBCも出たい」、次世代を担う一員としての期待
「なんにもないのよ。実際のところ。なんにも変わってないの。コツとか感覚を、本人が自分のものにしただけなんじゃないかな。でも、それが一番大切なこと。ようやくそこまで来たとは、言えるかもしれないね」
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そして、侍ジャパンのフェーズの変化が「幸太郎には風が吹いているんじゃないかな。そういう巡り合わせを持っているんだよ」と言う。
自身が監督を務めた2019年のプレミア12を「勝たなきゃいけなかった。とにかく、勝って注目してもらうしかなかった」と振り返る。「10年間も国際大会に勝てていなかった。とにかく勝たなきゃ見てもらえない」というほどの危機感だった。2009年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)以降しばらく、世界の頂点から遠ざかった日本。ただ、プレミア12優勝から一転、2021年東京五輪、昨年春のWBCを無敗で駆け抜けた。
日本代表の立ち位置も変わってきた。稲葉氏は「もちろん勝つことは前提にあるんだけど、井端監督は後の世代につなごうとしてやっていると思うよ」と言う。侍のスキを見せない、きめ細かい野球を若い世代に引き継ぐという、さらに難しい段階に突入している。清宮も、日本野球の次世代を担う一員と期待されての選出だ。
国際大会での連勝は27で止まった。侍には2026年WBCや2028年ロス五輪が待つ。清宮は「やっぱり五輪もWBCも出たいですし、メジャーにも行ってみたいですし、まだまだ夢はたくさんあります」。初侍での苦しい経験も、必ず糧にしてみせる。プロ7年間をもがきながら駆け抜けた清宮には、それだけの強さがある。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)