日本の中高生へ「自分はできると思って耐えて」 ゴルフ元世界1位スコット、横浜で伝えた技と“信念”
男子ゴルフ元世界ランク1位で米ツアー(PGA)14勝のアダム・スコット(オーストラリア)が15日、神奈川・横浜CCで「フューチャーゴルファーズセミナー」を行った。スポンサー契約を結ぶ大手衣料品メーカー・ユニクロ主催のジュニア育成セミナーで、これが7度目の開催。受講者は関東在住が中心の中高生19人で、スコットはコースに出てウォームアップ、バンカーショット、アイアンショットを披露。その後はクラブハウス内でジュニア時代やPGAで戦ってきた体験談などを語った。
ユニクロ主催「フューチャーゴルファーズセミナー」
男子ゴルフ元世界ランク1位で米ツアー(PGA)14勝のアダム・スコット(オーストラリア)が15日、神奈川・横浜CCで「フューチャーゴルファーズセミナー」を行った。スポンサー契約を結ぶ大手衣料品メーカー・ユニクロ主催のジュニア育成セミナーで、これが7度目の開催。受講者は関東在住が中心の中高生19人で、スコットはコースに出てウォームアップ、バンカーショット、アイアンショットを披露。その後はクラブハウス内でジュニア時代やPGAで戦ってきた体験談などを語った。
午後1時30分。スコットはリラックスした表情でバンカーショットを始めた。まずはグリーンのショートサイドにボールをコントロール。その全てにスピンがかかり、狙った位置の2メートル以内にボールが集まった。
「この距離は58度ウェッジを選択します。大切なことはクラブの底(バンス)で砂を爆発させること。決してカット軌道ではなく、打った後、砂にだ円の跡がつくようにスイングすることです。これはミケルソンもやっています」
続けて約35ヤード離れたピンに向かってショットした。こともなげに次々とボールをピンに絡めた後には「この状況では54度ウェッジを使います。距離が長い分、強く打つ必要があります」などと説明。その後、極端な左足下がりで巧みにボールを出し、「斜面と体のラインを合わせてフェイスの角度はそのまま使うことがポイントです」などと伝えた。
ジュニアたちは真剣にその姿を見つめ、クラブハウス内での講演後には1人が「ジュニアの頃に出したベストスコアは」と質問。スコットが「62」と即答すると「すごい」の声が上がった。
その他に出た「体のケアは」「試合前に大事にしていることは」との質問には、「君たちが今日、見せてくれた体をしっかり使ったスイングができるように週4、5回のペースでジムに行っているよ」「試合前にはパッティングの感覚と日によって変わる芝の状態をつかむことを大切にしている」などと回答した。また、ミスした後については「とにかく忘れること。スイング、チップショット、フルショットまで1つずつ準備ができていれば、切り替えもスムーズにできる」とアドバイスした。
2013年にマスターズ優勝。44歳の今もPGAの第一線でプレーしているが、現状には満足しておらず、「また、メジャーを勝ちたい。44歳でもまだやる気は十分さ」とも言った。一方で、今後もユニクロとともにジュニア育成に尽力する意向。参加者たちには「今日、感じたことの1つでも今後に役立ててほしい」「君たちがプロになった時、僕もまだ活躍していたい」とメッセージを送った。
その後の取材対応では、自身がジュニア時代を振り返って「僕は19歳まで父がコーチをしてくれたけど、スコアのことでは怒られたことはなかった。それよりも、態度のことは厳しく言われたよ」などと語った。
プロを目指す日本のジュニアも、大半が父親をきっかけにゴルフを始めている。しかし、スコアのことでひどく怒られ、結果的にゴルフ自体を嫌になるケースも少なくない。そうした指導法を見直すように日本のレジェンド・宮里藍らが訴えているが、スコットも同じ考えだ。そして、あらためてジュニアに向けて「支えられていることに感謝しながら、自分を信じることが何より大事。いろんなことがあっても、自分はできると思って耐えてほしい」と呼びかけた。
(柳田 通斉 / Michinari Yanagida)