山下美夢有「お待たせしました」 2位×8から今季初優勝、涙の母も信じた「また、美夢有が勝てる時」
下の世代に刺激も「『勝てない』とは思っていませんでした」
山下自身も「勝てない」と思っていなかった。
「ずっと勝つイメージでプレーしてきました。下の世代は勢いがあって刺激にはなっていましたけど、(今季中に)『勝てない』とは思っていませんでしたし、こうして勝てたので『よしっ』という思いです。残り6試合でも勝てるようにしたいです」
2週前の日本女子オープンでは、竹田麗央らとの優勝争いに敗れて3位。前週のスタンレーレディスホンダでは、発熱のため初日の途中で棄権した。その後、自宅で静養したことが功を奏して、体調がみるみると回復し、速くなっていたスイングのリズムがよくなったという。
今大会初日の夜に合流した父でコーチの勝臣さんからも「テンポが大分、良くなっている」とお墨付きを得て第2日、最終日をラウンド。本人の中では「まだ、クラブにボールが当たった時の音が良くない状態」というが、上向きであることも自信にしてプレーを続けていた。そして、勝てたことで山下は「次につながる」とも言った。年間女王争いでは、既に今季7勝の竹田が1位で山下は541.40差で2位。残り6試合で2勝はしないとその差は埋まらない状況だが、3年連続でのタイトル獲得もあきらめていなかった。
「竹田麗央さんは本当に素晴らしい選手だなと思います。でも、私は私のプレーをして残り試合は精いっぱい頑張りたいです。そのためにもショットを直していきたいです」
今季、海外メジャー、パリ五輪でも優勝争いを演じたことで、米ツアー最終予選会受験を決意した23歳。今季最終戦を終えて海を渡る前、その存在感を示すつもりだ。
(柳田 通斉 / Michinari Yanagida)