名選手が考える引き際とは トッティ去就論争にテニス界のスターが物申す
トップ選手が考える引き際とは
「フランチェスコ、バレンティーノ・ロッシ、そして、自分はそれぞれのスポーツを体現する存在なんだ。彼らがフットボールとオートバイの世界で達成したことは同等ではない。彼らは規範であり、象徴であり、現代史そのものなんだ。誰も我々にいつ引退するのかなど言えない。それは 消極めて近しい近親者か、個人的な決断によるものだ」
先日掲載されたイタリア高級紙「コリエレ・デラ・セーラ」のインタビューでフェデラーはこう語り、熱い思いを吐露。トッティや37歳のオートバイレーサーで「ロードレース史上最強ライダー」とも呼ばれるロッシ、そしてフェデラー自身はそれぞれの競技の象徴であり、その引き際に関しては誰も意見できないとの持論を展開した。
ツアー通算96勝で四大大会優勝17度を誇るスイスの天才テニスプレイヤーも34歳となり、ベテランと言われる年齢を迎えた。膝の故障などに苦しみ、限界論も囁かれるているが、各競技で頂点を極めたスター選手の矜持をこう代弁している。
「トッティが現役続行を希望しているのなら、それは彼の権利だ。私は支持する。私にとって、彼は大使のような存在なんだ。今年ローマに行く時には、どのレストランに行けばいいのか質問するよ。ロッシは昨季残念な終わり方をしたけれど、それが新しいモチベーションを与えてくれるものだ。それでも、自分たちはベテラン呼ばわりされるのだが、ね」
超一流の名手には長年に渡り競技を牽引してきた自負がある。フェデラーの言葉はベテランを軽視する現代の風潮にクギを刺した形だ。自身、第一線で輝くために加齢という難敵に挑む覚悟を言葉の端々ににじませている。トッププレーヤーの引き際。それは周囲が考える以上に繊細な問題に違いない。
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ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer