「ここで出してくるか」 連覇狙うバスケ琉球、選手も驚いた“超ロースコア”決着を導いた奇策
徹底された守備の割り切り、「深追いしすぎない」ことを徹底
小野寺が言葉にした通り、この日の琉球のディフェンスは「割り切り」をコート全体で徹底していた。A東京のテーブス海やライアン・ロシターが2ポイントのエリアからのシュートを引き出しとして持っているものの、あえて打たせ、落とせばリバウンドを真っ先に狙い、決まった場合には仕方がないという割り切りがあった。
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その意図を、桶谷HCは次のように解説する。
「『オーバーコミットしない(深追いしすぎない)』ことが重要で、相手のビッグマンのゴール下でのシュート確率は高い。ただ、ガードの選手が打ってくる2ポイントのジャンプシュートなら40%ぐらいの確率になる。そこで追いすぎて(オフェンスリバウンドを)落とされると、60%から70%の確率で決められる、もしくはファウルになってしまう。そこはビッグマンたちも良いアジャストができたと思います」
今季のA東京は、セカンドチャンスポイント(オフェンスリバウンドからの得点)がリーグ全体1位の1試合平均15.0点、ペイントエリアでの得点もリーグ2位となる同39.2点に達する。クォーターファイナルでの3戦ではいずれの試合でもこの平均を下回らせたことからも、守りを徹底することでA東京の長所を徐々に打ち消した琉球が、前述のとおり58-57で勝利し、セミファイナルへ駒を進めた。
昨季のBリーグを制した琉球にしか、「リーグ連覇」の称号を追うことはできない。同日に行われた宇都宮ブレックスと千葉ジェッツの一戦で千葉Jが勝利し、次戦のセミファイナルが琉球のホーム・沖縄アリーナで開催されることが決まった。千葉Jは東アジアスーパーリーグ、天皇杯と合わせた「3冠」達成を狙うだけに、「連覇か、3冠か」という、より一層スペクタクルな戦いも予想される。
小野寺はセミファイナルに向けた勝負のポイントについても、「守り」の意識を露わにした。
「(連覇については)あまり考えずに。シーズンを通して負けているチームですし、僕らはチャレンジャーとして、泥臭く、我慢して戦っていきたいなと思います。(千葉Jは)オフェンスの爆発力が凄いと感じていて、第1クォーターから大切になってくる。相手の富樫選手、スミス選手に、ファーストショットをいかに苦しく打たせるかが鍵だと思うので、徹底していきたいと思います」
(荒 大 / Masaru Ara)