中国選手へのレッドカードに母国記者が感謝「実はこれこそ…」 W杯最終予選進出圏内浮上で批判なし
サッカー日本代表も参加している北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選第4節が26日に各地で行われ、C組の中国はシンガポールに4-1で勝ち、勝ち点を7に伸ばして最終予選進出圏内の同組2位に浮上した。5日前に行われた同対戦では痛恨のドロー。リターンマッチで面目を保った。中国メディアは中国選手がレッドカード退場となったシーンを試合の「転換点」としてピックアップ。ファンも当該選手を批判するどころか、感謝の声が上がっている。
北中米W杯アジア2次予選
サッカー日本代表も参加している北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選第4節が26日に各地で行われ、C組の中国はシンガポールに4-1で勝ち、勝ち点を7に伸ばして最終予選進出圏内の同組2位に浮上した。5日前に行われた同対戦では痛恨のドロー。リターンマッチで面目を保った。中国メディアは中国選手がレッドカード退場となったシーンを試合の「転換点」としてピックアップ。ファンも当該選手を批判するどころか、感謝の声が上がっている。
21日に行われた敵地での試合でシンガポールと2-2で引き分けた中国にとっては、負けられないリターンマッチ。前半21分にエースFWウー・レイがループシュートを決めて先制したが、1分後にすぐに追いつかれるという嫌な雰囲気のまま前半を終えた。後半16分にPKで勝ち越して流れをつかんだものの、同34分にMFリ・ユァンイがラフプレーでレッドカードを受けて退場。それでも同40分にウー・レイがこの日2点目を決めると、終了間際にも加点して勝利を収めた。
中国メディア「新浪体育」は、体壇週報の馬徳興記者による記事を掲載。「この試合の真の転換点はリ・ユァンイがレッドカードを出されたことであり、レッドカードの後、全面的に収縮した中国代表が思いを一つにして反撃に出た結果、中国代表は最終的に4-1で勝利を収めることができた」と記し、試合のポイントを指摘した。
「10人での戦いを強いられた中国代表は、守備を縮小して反撃の機会をうかがうという意識で思いが統一された。実はこれこそ中国代表チームにとって最もなじみ深いプレースタイルであり、前任のヤンコヴィッチ監督が残した『遺産』だということができる。選手たちの思いはまとまり、全面的な収縮の後、いったんボールを奪ったらすぐに素早いカウンター攻撃に出る、という目的が非常に明確になった」
1点ビハインドとなったシンガポールが数的有利を生かして攻勢に出てくる中、中国の効果的なカウンターがはまる展開。ウー・レイがチーム3点目を決めたことで、馬記者は「選手たちの気持ちはこれで完全に落ち着いた。そのわずか5分後、またしても素早いカウンター攻撃の中でウー・レイのアシストでウェイ・シャオがゴールを決め、点差は4-1に拡大した」と記している。
馬記者は「中国代表は当初、相手を押さえつけ、ボール支配率を掌握しようと努めていたが、思ったようには効果が上がらなかった。ところがボール支配を放棄し、スピーディなカウンター攻撃に転じたとき、中国代表の攻撃の効率はかえって高まった」「こうした角度から見ると『レッドカード』が中国―シンガポール戦の中国チームを救い、中国チームは3点のリードを実現することができたと言うことができるのではないだろうか」と数的不利が逆にチームの循環を良くしたという見解を述べた。
本来なら糾弾されてもおかしくないレッドカード。当事者のリ・ユァンイは「あの時は緊張していて、確かに足が出るのも遅れた。試合後に、あの選手に会いに行った。彼の足を蹴ろうとしたわけではなく、ボールに向かって突進していたが、足が出るのが遅くなった。あのときは2-1を守りたいと思って、自分でも少し焦っていた。冷静でいるべきだった」と反省の弁を述べた。それでもネット上の中国ファンから、厳しい声はあまり聞こえてきていない。
「何の問題もない。今考えると、あなたのレッドカードがなければ4-1もなかったとさえ言えると思う。塞翁が馬だ」
「レッドカードがなければ、4-1がないばかりか、2-2になっていたかもしれない。10人対11人になったらずいぶん空間が増えて、カウンター攻撃にちょうどいい形になった」
「あのレッドカードで多くの人の代表チームでの命が救われたし、監督も救われたのではないか」
「22人だと少々窮屈だったけれど、ちょうどよくなった」
中国は6月6日の第5節でタイとホームで対戦。勝てば最終予選進出が決まる。
(THE ANSWER編集部)