日本サーフィンの危機感 パリ五輪予選で想定外の惨敗、背景に「五輪競技になった影響」
サーフィンの日本代表が5日、パリ五輪予選を兼ねて行われたワールドゲームズの開催地・プエルトリコから帰国した。団体、個人ともに上位を目指し、新たな五輪出場権獲得を狙ったが、男女各3人の代表はメダルはおろか全員が早い段階で敗退する近年の大会にはない惨敗。日本サーフィン連盟(NSA)の酒井厚志理事長は「今回の反省を次に生かして、いろいろと見直さないといけない」と危機感を口にした。
ワールドゲームズの開催地・プエルトリコから帰国
サーフィンの日本代表が5日、パリ五輪予選を兼ねて行われたワールドゲームズの開催地・プエルトリコから帰国した。団体、個人ともに上位を目指し、新たな五輪出場権獲得を狙ったが、男女各3人の代表はメダルはおろか全員が早い段階で敗退する近年の大会にはない惨敗。日本サーフィン連盟(NSA)の酒井厚志理事長は「今回の反省を次に生かして、いろいろと見直さないといけない」と危機感を口にした。
すでに出場権を獲得していた男子の五十嵐カノア(26=木下グループ)と稲葉玲王(26)、女子の松田詩野(21=TOKIOインカラミ)は今大会出場で正式にパリ五輪代表に決定。さらに男子には22年ワールドゲームズ団体優勝で得た国別出場枠1もあるが、女子は低迷。東京五輪銅メダルの都筑有夢路(22=木下グループ)と同じく東京五輪代表の前田マヒナ(26)は出場権獲得を逃した。
東京五輪出場を逃した松田はパリの代表権を手にして「正式に決まってうれしい」と話しながらも、都筑と前田の落選には「一緒に高め合ってきただけに、残念」と寂しげな表情。「2人の分まで頑張りたい」と気丈に言ったが、周囲の期待を1人で背負うことにもなる。プレッシャーは計り知れない。
ここ数年で日本は世界トップの仲間入りを果たしていた。男子に続いて、女子も団体優勝でプラス1枠獲得を目指した。ところが、想定外の惨敗。「各国とも力の入れ方が違った。1か月以上前に現地入りするチームもあった。五輪競技になった影響だ」と酒井理事長。今大会では中国の14歳、スーチー・ヤンが出場権を獲得。アジアのレベルも急激に上がっていた。
東京五輪では五十嵐の銀、都筑の銅と2個のメダルを獲得した日本は、タヒチで行われるパリ五輪でも複数のメダル獲得を目指す。五十嵐は「銀はあるので次は金」と宣言し、松田も「目指すは金メダル」と口にした。ただ、世界のレベルの上がる中で現状は決して簡単ではない。
今大会は選手6人の他にコーチやドクター、分析担当らスタッフ9人の総勢15人で大会に臨んだ。同一年度に2回目のワールドゲームズがあったために費用面は厳しいが「トレーナーを増やすなど、チームの編成も考えないと」と酒井理事長。五輪の仲間入りしてから日は浅いが、28年ロサンゼルス大会以降も続く将来に向けて代表チームの強化方法を見直すことも口にした。
五輪競技になって日本のサーフィンは劇的に強化されたが、世界の競技レベルも上がっている。日本が好成績を残し続けることは簡単ではない。長く世界と戦い、世界を見てきた大野修聖ヘッドコーチは「勝てない原因はいろいろ考えられるけれど、一番は勝つことへの意欲。今回は特に他の国にそれを強く感じたし、明らかに変わってきている」と総括。東京五輪で華々しくデビューして日本の五輪サーフィンだが、世界のトップを守るのは決して簡単ではない。(荻島 弘一)
(THE ANSWER編集部)