B1連覇へ「3ビッグ」誕生 米出身カークが日本に帰化、王者・琉球の新たな武器と「贅沢な悩み」
桶谷HCが再考するカークとクーリーの起用法
3日の試合はウイングに回ったヴィック・ローが光った展開だった。それはデータも示していて、チームが敗れたにもかかわらず、ローのプラスマイナス(出場時間中の得失点差)は「2」のプラスだった。
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ただしインサイドの大黒柱だったジャック・クーリーのプレータイムが減ることになる。クーリーは「純センタータイプ」で、リバウンドやインサイドショットはB1最強と言っても過言ではない実力者だ。さらにダーラム、ローのいずれとも良好な関係を築ける。それでも「カーク+ダーラム+ロー」の3ビッグで引っ張る時間が増えれば、彼はベンチに座らざるを得ない。
3日の出場時間はカークが20分19秒、クーリーが20分23秒(OTだったため合計45分)という配分だった。4日はカークの23分16秒に対し、クーリーが16分44秒だった。
カークとクーリーの併用は「嬉しい悩み」「贅沢な悩み」だ。仮にプレータイムが短くても、それぞれフレッシュな状態でコートに立てるのだから、当然メリットは大きい。しかし今までクーリーという「一軸」で作っていたチームの編成が、「二軸」に増えたことで、桶谷HCは組み合わせやプレータイムを再考する必要性が生まれている。
琉球の中で「ハンドラーを任せられるウイング」を挙げるなら、それはローと今村佳太だ。ローがカークと組むことで、「クーリーと今村」「クーリーと日本人シューター」の関係性も重要になっている。
桶谷HCは3日の試合後にこう説明していた。
「ローと今村が被ってしまったら『もったいない』というのがあって、ジャックの時に今村を一緒に出してというのをやっていました」
クーリーの起用については、次のように語っている。
「3ビッグのところで点数が伸びたので、(3人を)使わざるを得なかったところもあります。今まで30分近く出ていたのが25分から20分くらいになるけれど、ジャックともこれからその強度を上げていく話をしたい」
桶谷HCはベンチメンバーの活用が巧みな指揮官だ。仮にクーリーが「セカンドユニット」「脇役」になったとしても、その強みは引き出せるだろう。確かに短期間で組み合わせやローテーションを変えるのは手間がかかる作業だが、それ以上に期待感が大きい。
琉球はA東京との連戦を終えて現在24勝12敗。西地区2位・名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、3位・島根スサノオマジックとは微差だが、首位につけている。まだCS進出を前提に語るのは早いかもしれないが、カークは琉球にとってB1連覇の切り札となり得る存在だ。
(大島 和人 / Kazuto Oshima)