チーム解散→練習生からB1デビュー 今季飛躍する26歳、宇都宮HCが明かす「使いたくなる」理由
バスケットボールBリーグの宇都宮ブレックスは現在、東地区2位につけている。今季主力として期待された新加入の帰化選手ギャビン・エドワーズが12月からの約2か月間、負傷離脱を余儀なくされるなど、必ずしも順風満帆とは言えないなかで勝ち星を重ねてきた。1月27日と28日に本拠地・ブレックスアリーナ宇都宮に佐賀バルーナーズを迎えた2連戦で、宇都宮は第1戦に83-70、第2戦に76-62と勝利し連勝を収めた。
東地区2位の宇都宮、負傷者続出のなかで村岸航が奮闘
バスケットボールBリーグの宇都宮ブレックスは現在、東地区2位につけている。今季主力として期待された新加入の帰化選手ギャビン・エドワーズが12月からの約2か月間、負傷離脱を余儀なくされるなど、必ずしも順風満帆とは言えないなかで勝ち星を重ねてきた。1月27日と28日に本拠地・ブレックスアリーナ宇都宮に佐賀バルーナーズを迎えた2連戦で、宇都宮は第1戦に83-70、第2戦に76-62と勝利し連勝を収めた。
この2連戦での宇都宮はエドワーズが負傷のため戦列を離れ、加えてインサイドを主戦場とするアイザック・フォトゥも膝の骨挫傷により欠場。日本人ビッグマンの竹内公輔の奮闘が目立つ一方で、佐賀戦ではベンチメンバーの集中力も光った。
特に今季から宇都宮でプレーする村岸航は、シュート力に優れた佐賀の選手を相手によく守り、一方ではインサイドもしっかりと絞り込んで追いかけ、簡単な得点を許さない。佐賀との1戦目では13分44秒、2戦目は14分6秒と、シーズン平均(5分50秒)よりも大幅に出場時間を伸ばし、1戦目ではB1での自己最多タイとなる8得点をマークした。泥臭い役回りをこなし続けた村岸は、2連戦を次のように振り返っている。
「オフェンス面では、練習からいつもやっていたスペーシングの部分、ディフェンスではアグレッシブに体を張る、リバウンドやルーズボールに参加するという部分のマインドセットを常に持って、準備していけたと思います」
村岸は、大学バスケット界の名門・筑波大学出身の26歳。大学卒業後はB3リーグのアイシンAWアレイオンズ(2021-22シーズンは「アイシン アレイオンズ」にチーム名を変更)でキャリアをスタートさせ、アレイオンズがチーム活動を終了した昨シーズンは宇都宮の練習生として過ごし、今季の選手契約を勝ち取った。ハードワークがプレータイムに結びつきつつある現状を、チームを率いる佐々宜央ヘッドコーチ(HC)も称えている。
「(宇都宮として)台所事情による部分もありますけど、プレータイムを勝ち取っているのは村岸本人です。彼が厳しい時間帯の中でも、今シーズン何度も良い活躍をしているところがあって、そこは評価として、どんどんプレータイムを与えなくてはいけません。彼の日頃の準備や姿勢については毎日見ていますし、助けてもらっている。『自然と使いたくなるような状況』に、今の村岸がしてくれているのかなと思います」
宇都宮というチームが抱える現状は、ある意味、村岸にとって追い風だ。エドワーズやフォトゥがチームを離れ、そうした事態をしのいできた大ベテランである竹内のプレータイムも、ここ数年になかったレベルで長くなっている。
一方で、宇都宮のオフェンス面で軸となる、外国籍ポイントガードのD.J・ニュービルをコートに立たせつつも、ゴールに近い部分で守備の強度を保つ場合、196センチ・99キロと体格も良い村岸がコート上でしっかりと戦えることは、必要不可欠な要素とも言える。村岸もまた自らの役割を理解し、コーチ陣ともコミュニケーションを密に取っているようだ。
「試合前に相手チームで抑えるべきポイントについて、佐々HCと個人で話して、守り方についても声かけをしていただいていました。そういうやりとりもあるからこそ、『今日は(出番が)あるな』と感じながら最近は試合に臨めています。昨年は練習生ということもあって試合でのプレーはできませんでしたが、今のチーム状況もあって試合に出られるなかで、実戦で学べる部分も多くなっています。そこも自分自身の成長として感じ取れています」