スキー&陸上で日本一、東大でプロ志望… 白球を選んだ“二刀流”の逸材たち
スキーで日本一、両親は医者…「スーパー中学生」と騒がれたマルチな逸材
根尾昴。名前を聞いたことがあるファンも少なくないかもしれない。今春のセンバツ高校野球を制した名門・大阪桐蔭(大阪)の原動力となった2年生だ。
そもそも、アマ野球界で根尾の名が轟いたのは中学3年のこと。飛騨高山ボーイズの投手として最速145キロをマークして一躍、スーパー中学生として騒がれた。野球もさることながら、冬季競技が盛んな岐阜で生まれ育ち、スキーの実力も図抜けていた。全国中学校スキー大会、アルペンの回転で優勝。ただ球が速いだけではない、驚異の運動センスも話題が広がる要因となった。
学業も優秀。中学ではオール5に近い成績を残し、生徒会長を務めていたという。さらに、両親が医者という家庭で育った根尾。中学卒業後は医者の道も見越し、医学部を持つ私大の、関東にある系属強豪高への進学が噂されたこともある。しかし、結果的に中田翔(日本ハム)、中村剛也(西武)、藤浪晋太郎(阪神)ら多くの名選手を輩出している大阪桐蔭に進学した。
高校では投手のみならず、遊撃、外野とポジションでもマルチな才能を発揮した。3月のセンバツでは投打で活躍し、5年ぶりの優勝に貢献。根尾自身にとっては中学のスキーに続く日本一となった。当然、溢れすぎる才能に逸材にプロのスカウトも注目。「ポジションは獲ってから決めればいい」と舌を巻くほど評価が高い。ドラフトイヤーとなる来年は、さらに熱視線を浴びるはずだ。
こうして見ると、パワー、スピード、技術、体力、頭脳……あらゆる能力が問われる野球でプロの注目を集める選手たちは、他分野で実力を発揮した選手は少なくない。もちろん、その過程には白球を追うと決める葛藤はあっただろう。それでも、決断が正しかったと胸を張り、これから野球界を盛り上げていってくれるように――。彼らの豊かな才能が育まれることを期待したい。
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ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer