宇野昌磨、若手に背中を見せた首位発進 鋭い視線に宿る第一人者の自負「僕の立場を全うしたい」
フィギュアスケートの全日本選手権は21日、長野・ビッグハットで男子ショートプログラム(SP)が行われた。連覇と6度目の優勝のかかる26歳の宇野昌磨(トヨタ自動車)が104.69点で首位発進。特別な舞台で貫禄を見せた。年下の若手も増えた中、第一人者としての自負も持っている。
フィギュアスケート全日本選手権男子SP
フィギュアスケートの全日本選手権は21日、長野・ビッグハットで男子ショートプログラム(SP)が行われた。連覇と6度目の優勝のかかる26歳の宇野昌磨(トヨタ自動車)が104.69点で首位発進。特別な舞台で貫禄を見せた。年下の若手も増えた中、第一人者としての自負も持っている。
大舞台でこそ輝きを放つ。それが強さだ。宇野は冒頭から4回転フリップに成功。連続ジャンプを着氷させ、勢いに乗った。会場の熱気に押されるように演技。会心のポーズを決め、演技後はステファン・ランビエールコーチとハグを交わした。キス・アンド・クライで得点を聞くと、2人で笑顔に。堂々の首位で好スタートを切った。
しかし、好調とはほど遠かったという。
「6分間練習、直前の氷上からコンディションがあまりよくないと感じていたので、スピードを落としてシンプルに、丁寧に。そのような演技になった。できないコンディションの中でどのように最大の演技ができるか。状態が良くない中でもよくやったと思います。どんな演技をしても後悔はない。このハイレベルな中、皆さんを引っ張っていけるように頑張りたい」
コンディション不良でもまとめ上げてみせた実力者。NHK杯やグランプリファイナルなど国際大会の連戦続きとなり、それぞれの大会で立場が異なる。取材エリアで「(各大会ごとに)立ち位置を定めるのは大変では」と投げかけられると、事もなげに回答した。
「全然、大変じゃないですよ。僕は好きなようにやっている方。その中でもこの位置に立てているのは、何かしらの正解があったからこの立場にいると思う。皆さんに少しでも参考になればと思いますし、僕はオリンピックとか全ての試合を経験しましたけど、一番緊張するのは全日本選手権。今大会も特別な緊張感がある中でみんな演技をしていますし、僕はかなり出ているので何か聞かれたらアドバイスしたい(笑)」
山本草太(中京大)が94.58点の2位で続き、2022年北京五輪銀メダリスト・鍵山優真(オリエンタルバイオ)は93.94点の3位で出遅れた。日本男子を牽引する宇野は、「皆さん素晴らしい演技でした」と相手を称えることを忘れない。第一人者としての自負がある。照れ笑いを浮かべながらも、鋭い目の奥に信念を垣間見せた。
「年下の子たちばっかりなので(笑)。僕は年上として参考になるような選手ではないですけど、皆さんの力に少しでもなれたらと思います。僕もまだ引っ張りますけど、これからスケート界を引っ張っていくのは皆さんだと思うので、その中でしっかり僕の立場をちゃんと全うしたいと思います」
今大会は3枠の世界選手権代表選考会を兼ね、男女シングル優勝者は即内定。男子フリーは23日に行われる。
(THE ANSWER編集部)