「迷い」を消した同僚の言葉 Bリーグ静岡の司令塔・岡田雄三、殊勲の3Pを生んだ意識の変化
バスケットボールB2リーグに今季から参入しているベルテックス静岡は、B1昇格を狙う強豪がひしめく西地区において健闘を続けている。25日と26日に行われたB1復帰を目指す神戸ストークスとの2連戦は、終盤にもつれる展開になったものの、第1戦は78-77、第2戦は87-80で勝利。開幕節で連敗を喫した神戸を相手に、最高の「お返し」をやってのけた。
神戸の猛追を振り切り2連勝、岡田の3Pで試合の流れを取り戻す
バスケットボールB2リーグに今季から参入しているベルテックス静岡は、B1昇格を狙う強豪がひしめく西地区において健闘を続けている。25日と26日に行われたB1復帰を目指す神戸ストークスとの2連戦は、終盤にもつれる展開になったものの、第1戦は78-77、第2戦は87-80で勝利。開幕節で連敗を喫した神戸を相手に、最高の「お返し」をやってのけた。
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およそ1か月半ぶりの再戦となった両者だが、10月上旬の開幕節と同じように、リードを広げた静岡を終盤に神戸が猛追する形は変わらなかった。26日の第2戦でも、第4クォーター開始時点で13点あった静岡のリードが、残り6分25秒の段階で2点差にまで詰め寄られる。
苦しい展開の中、静岡は司令塔の岡田雄三がボールを運ぶ。味方のスクリーンを用いてインサイドに切れ込むかと思いきや、3ポイントラインまで下がってのシュートを選択し、これがリングに吸い込まれた。静岡はこの得点を足がかりに3ポイント攻勢を仕掛けて再び点差を広げ、残り時間3分を切ったところで、岡田が再びスクリーンの背後から3ポイントを決める。立て続けに放ったビッグショットで流れを取り戻した静岡は、連勝でこの2連戦を締めくくった。
「開幕当初は、シュートを打っていても迷いがあった」と、試合後の記者会見で話した岡田だが、直近5試合で4度の2桁得点を記録し、この日も13得点で勝利に貢献した。試合を決めたシュートについては、自身の中での意識の変化があったことを明かした。
「特に今年は、シュートの得意な選手がこれまで以上に加入したという印象があって、開幕当初は『自分がシュートを打つ必要がないのかな』と考えていました。ただ、トーマス(・ブロープレー)やケニー(・ローソン・ジュニア)から『自信を持って打ちきれないと、僕らのところにディフェンスがやってきて、僕らも良いシュートが打てない。まずは自分で自信を持ってシュートを打とう』と、ちょうど前日に伝えられていたところでした。ああいった大事な場面でシュートを打ちきるという選択ができて良かったかなと感じています」
岡田は、静岡県三島市出身の地元選手。2021-22シーズンに静岡に加入すると、昨シーズンはキャプテンとしてB2昇格に貢献し、初のB2挑戦となる今季もバイスキャプテンとしてチームを束ねる。相手がドライブアタックを警戒してポジション取りを下げても、構わずアタックを仕掛けて得点につなげる強心臓ぶりが大きな魅力だ。ただ、今季は大塚勇人や橋本尚明など、B2でも実力者であり、かつ得点力にも長けたガード陣がチームに加わった。そうした、自らを取り巻く事情も、プレースタイルに影響を及ぼしていたようだ。
だが、シーズンを送る中で、岡田に生じていた迷いを振り払うきっかけが訪れつつあった。
「この数戦、ケニーのほかに、トーマスや山田(安斗夢)選手など、静岡の中でたくさんシュートを打つ選手たちがいないゲームがありました。必然的に、自分からアタックを仕掛けないと点が取れないという状況になっていて、良いチャンスというか、自分がどれだけやれるのかという良いチャレンジになったと感じています。この状況で得点力を見せられたことはチームにとってもプラスでしょうし、欠場していたメンバーが帰ってきても、自分が大事な場面で点を取ることで、他の選手も点を取りやすくなるはずです。この数試合の中で『もっと攻めて良い』というマインドが作れましたし、もし、そうした事態が起こらずに今日を迎えていたら、たぶんパスを回していたと思います」