性分化疾患持つ陸上元女王が訴え「私は女性だ」 男性ホルモン抑制治療なしでの出場不可に異議
陸上の女子800メートルで、2012年のロンドン、2016年のリオデジャネイロと五輪2連覇を達成したキャスター・セメンヤ(南アフリカ)が、男性ホルモン値が高い女子選手の出場資格を制限する世界陸連の規定撤回を求めた問題に関連した訴訟で、欧州人権裁判所(ECHR)は7月に、差別があったと認める判決を下した。セメンヤは英公共放送「BBC」が7日に公開したインタビューで「私自身が女性であることは分かっている」「他人と違うからといって恥じることはない」などと語っている。
欧州人権裁判所がセメンヤの訴え一部認める判決
陸上の女子800メートルで、2012年のロンドン、2016年のリオデジャネイロと五輪2連覇を達成したキャスター・セメンヤ(南アフリカ)が、男性ホルモン値が高い女子選手の出場資格を制限する世界陸連の規定撤回を求めた問題に関連した訴訟で、欧州人権裁判所(ECHR)は7月に、差別があったと認める判決を下した。セメンヤは英公共放送「BBC」が7日に公開したインタビューで「私自身が女性であることは分かっている」「他人と違うからといって恥じることはない」などと語っている。
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世界陸連は2018年に、性分化疾患(DSD)を持つアスリートは、男性ホルモンのテストステロン値を低下させた場合に限り、400メートルから1マイルまでの女子競技に出場できる規定を導入。その後、対象は全競技に拡大された。該当アスリートについては6か月のホルモン抑制治療を受ける必要があると裁定。セメンヤはスポーツ仲裁裁判所(CAS)とスイスの最高裁判所に提訴するも敗訴していた。
「BBC」は「キャスター・セメンヤ:五輪2連覇女王『他人と違うのは恥ずかしいことじゃない』」との見出しで記事を掲載。ECHRの判決について「今回の訴訟はDSD規定についてではなく、スイス最高裁の判決の際に同国政府がセメンヤの権利を保護しなかった事についてだった」「ECHRは、スイス最高裁の判決の際に、スイス政府がセメンヤを差別から保護しなかったと判決を下した」と解説している。
セメンヤは5歳の時に「他人と違う」ことに気づいていたそうで、2009年の性別テストで「子宮と卵管がない」ことを発見したという。昨年の世界選手権では5000メートルに出場するも決勝進出を逃していた。現在は五輪でのメダル獲得ではなく「当局との戦いに勝つこと」に集中している。その理由は「同じ規定によって、たくさんの子どもたちが影響を受けるから、次世代のために戦っている」と説明した。
記事で、セメンヤは「私自身が女性であることは分かっている」と主張。「私は違いを持って生まれた。それを受け入れる。他人と違うからといって恥じることはない。私は他人と違うし特別で、それを素晴らしいことだと感じている。女子スポーツは真剣に受け取られていないし、私たち自身の体は自分たちで管理しないといけない。私たち自身で正しいことを決断する。我々がどう見えるべきか決断するのは他の性別の人ではない」と訴えていた。
(THE ANSWER編集部)