桃田賢斗、憧れの五輪連覇王者を圧倒 完敗の相手は脱帽「スピードで負けた」
うまく言い表せず、戸惑った勝者が放った言葉は「寂しさ」だった。憧れの存在を超えていく勝利の中で感じたのは、達成感ではなかった。バドミントンの国際大会「ダイハツヨネックスジャパンオープン2018」は14日に武蔵野の森総合スポーツプラザで各種目の準々決勝を行い、男子シングルスの桃田賢斗(NTT東日本)は、ストレート(21-8、21-10)で五輪2度優勝のリン・ダン(中国)を破って4強入りを果たした。
桃田が北京、ロンドン五輪の王者リン・ダンにストレート勝ち
うまく言い表せず、戸惑った勝者が放った言葉は「寂しさ」だった。憧れの存在を超えていく勝利の中で感じたのは、達成感ではなかった。バドミントンの国際大会「ダイハツヨネックスジャパンオープン2018」は14日に武蔵野の森総合スポーツプラザで各種目の準々決勝を行い、男子シングルスの桃田賢斗(NTT東日本)は、ストレート(21-8、21-10)で五輪2度優勝のリン・ダン(中国)を破って4強入りを果たした。
日本のバドミントンファンが注目した一戦だった。桃田は、8月に世界選手権を優勝。一方、34歳のリン・ダンは、2008年北京、2012年ロンドンと五輪を連覇した実績を誇る。全盛期に比べればスピードやパワーの衰えを隠せないが、それでも2回戦で世界ランク5位に競り勝つなど、卓越した技術と戦術を持った超実力派のベテランだ。桃田は対戦が決まった前日に「競技を始めた頃からの憧れ」と評していた。
2015年の全英オープンで敗れて以来、2度目の対戦。2016年に違法賭博店の利用発覚により出場停止処分を受けて復帰してからは初の対戦だった。桃田は「いつもとは少し違う感情でコートに入った。いつもは、絶対勝つという気持ちで緊張するけど、今日は、リン・ダン選手と対戦できるワクワクした気持ちが緊張感を上回って、ちょっとフワフワしていた」とコートに入る前の心境の違いを明かした。
しかし、試合では圧倒した。1回戦、2回戦をファイナルゲームまで競って疲弊している相手の弱点を突くため、クリアを相手コートの後方に飛ばし、攻撃させる展開に持ち込むと、得意のレシーブ力で優位に立ち、クロスへのスマッシュやネット前への巧みな配球で得点を重ねた。「リン・ダン選手は、相手を後方に下げて(攻撃的なショットを)打たせて取って、相手を走らせて疲れさせるのが、勝つパターン。だから、今日は相手が攻めるまで我慢して、攻撃してきた球を捕えようと思った」という戦術が奏功し、相手に付け入る隙を与えずに勝ち切った。