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バスケW杯で日本とも戦った「極上の脇役」 ニック・ケイが島根で貫く“個をつなぐ”異能

強烈な才能が揃う中で「今できることに集中」

 15日の試合後にニック・ケイに高得点の理由を聞くと、チーム視点の答えが帰ってきた。

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「まず今日はボールムーブメントも良かったですし、それと我々の知っているスペーシングの中でバスケットボールができました。昨日は秋田のプレッシャーに苦しみましたけれど、今日はそれに対応してみんながボールを回しながら、全員がアタックに参加できていた。だから私以外の選手も得点が伸びました」

 秋田はビュフォードへ圧をかけ、ダブルチームも多用していたが、彼はそんな中で難なくパスをつないでいた。ビュフォードのスキルや状況判断も素晴らしいのだが、島根のオフェンスは彼がパスを出したいタイミングで、出したい位置に仲間がいる。相手の守備を見て、そこから逆算してコート上の5人がすぐに同じ「絵」を共有して動ける。ビュフォード、安藤はもちろんだが、ニック・ケイはそういった対応力が際立っている。

 秋田の前田顕蔵HCも試合後に「ニック・ケイ選手単体でなく、やっぱりビュフォード選手との駆け引き、タイミングが非常にいい。ディフェンスをしっかり見て、判断して動いているので、僕らが後手になって(ケイが)空いてしまう」と振り返っていた。

 以前のインタビューで、ビュフォードはニック・ケイを「GLUE GUY(グルー・ガイ)」と評していた。「GLUE」は糊という意味の英単語。ニック・ケイが選手同士をくっつける、チームをまとめる存在という意味だ。

 島根もオーストラリア代表も、素晴らしい「個」を擁するチームだ。ニック・ケイはまとめることが容易でない強烈な才能をチームとして機能させる、それぞれがプレーしやすい環境を整えられる異能だ。

 ニック・ケイ自身も「この島根も、オーストラリア代表も、素晴らしい選手が揃っていますので、自分はみんなを生かせるようにプレーしたい。その役割も自分は受け入れていますし、むしろ歓迎しています。それでチームの勝利に貢献できれば、もうそれが本望です」と口にする。

 会見の最後には「もっとボールに触って、シュートの本数を増やしたいとは思わないのか?」という意地の悪い質問をぶつけてみた。常に穏やかで紳士的な受け答えに終止した彼は、軽く苦笑いを浮かべつつ、こう答えてくれた。

「チームが勝っていれば、そして自分がその勝利に貢献できていれば、自分はそういったところは気にならないです。もし展開が苦しくなれば『自分がもっとできる』と思うかもしれないですけど、今は素晴らしいチームにいますので、今できることに集中しています。それに我々のチームメイトは(ニック・ケイ以外も)皆がそれぞれの役割を持って、その役割を担いながらチームに貢献しようとしています。それが島根の素晴らしさです」

(大島 和人 / Kazuto Oshima)


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