バスケW杯で日本とも戦った「極上の脇役」 ニック・ケイが島根で貫く“個をつなぐ”異能
今季のBリーグでは、8~9月に沖縄などで開催されたバスケットボールワールドカップ(W杯)に出場した日本代表選手が10人プレーしている。パリ五輪出場権を獲得したW杯における代表チームの活躍、河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)を中心としたスターの台頭も、2023-24シーズンの盛り上がりを支える大きなポイントだ。
15日のBリーグ秋田戦で20得点の活躍
今季のBリーグでは、8~9月に沖縄などで開催されたバスケットボールワールドカップ(W杯)に出場した日本代表選手が10人プレーしている。パリ五輪出場権を獲得したW杯における代表チームの活躍、河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)を中心としたスターの台頭も、2023-24シーズンの盛り上がりを支える大きなポイントだ。
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ただ「W杯帰り」の選手は他にもいる。島根スサノオマジックにはスター軍団オーストラリア代表の主力で、1次ラウンドで日本とも対戦したニック・ケイがいる。ジョシュ・ギディー(オクラホマシティ・サンダー)、パティ・ミルズ(アトランタ・ホークス)らNBAの主力が居並ぶ中、Bリーグ所属のニック・ケイもスタートで起用されていた。
ニック・ケイは極上の脇役だ。206センチ・106キロのパワーフォワードで、典型的なストレッチ4タイプ。2022-23シーズンのB1では「ベスト3P成功率賞」に輝いたシュートの名手だが、どんなプレーもそつなくこなす万能選手でもある。しかし島根でも、オーストラリアでも、彼はエースではない。
島根は2シーズン連続で、B1のチャンピオンシップに出場している西地区の強豪で、今季は4試合を終えて3勝1敗。プレシーズンには負傷者が相次ぎ、センターとして活躍が期待されるハッサン・マーティンの新加入もあり、秋田ノーザンハピネッツ戦を見た印象として連係面はまだ模索中の感もあった。とはいえ過去2シーズンの積み上げは大きく、今季も優勝戦線に絡んでくるはずだ。
島根は10月14日の秋田戦でオーバータイムにもつれ込む激闘を93-87と制し、翌15日は85-65と快勝している。15日はニック・ケイが20得点を挙げ、チームのポイントリーダーになった。3ポイントシュートは6本中4本という高確率で沈めている。
ポール・ヘナレ・ヘッドコーチ(HC)は試合後に、ニック・ケイをこう称賛していた。
「彼はスマートな選手です。自分の役割、チームが求めているものを理解できています。今日はシュートを高確率で決めてくれましたが、他にも要所要所でチームが必要としているプレー……例えばディフェンス、リバウンドといった部分でも貢献してくれた。我々にとって非常に貴重な存在です」
島根は昨シーズンの得点王に輝いたペリン・ビュフォードと、ポイントガードの安藤誓哉が絶対的なエースで、攻撃のファーストオプションだ。彼らはボールを運び、ゴールにアタックし、それによって生まれたズレも使うプレーをする。
ニック・ケイは攻撃ならスペースを空ける、空いたスペースを活かすことで、全体のバランスを整えている。もちろん「ただ外にいる」のではなく、立ち位置や動き出しのタイミングが絶妙で、判断力がずば抜けている。彼があれだけ3ポイントシュートを決められるのも、彼の判断とチームの連係でオープンな状況を作れているからだ。