18日グスマンに3-0判定勝ち、早くも練習熱望「格闘技がないと頭おかしくなっちゃう」

　ボクシングの東洋太平洋スーパーバンタム級8位・那須川天心（帝拳）が19日、ボクサー転向後2連勝から一夜明け、都内で会見した。前夜は東京・有明アリーナでの123ポンド（55.79キロ以下）契約8回戦でメキシコバンタム級王者ルイス・グスマンに3-0の大差判定勝ち（80-70×3）。4月のデビューから2戦連続の判定決着に悔しさを見せたが、一夜明けて心境などを明かした。

　前夜は試合開始わずか1分、那須川がカウンターで早くもダウンを先取した。2回以降も打ち下ろしの左やボディーでぐらつかせる展開。フックも織り交ぜ、6回にはロープ際でラッシュした。7回に2つ目のダウンを奪い、最終8回の終了間際にも左。初のKO勝ちはお預けになったが、デビュー戦から確かなレベルアップを見せていた。

　4回頃に左拳を痛めたが、この日はほとんど傷のない顔で帝拳ジムの浜田剛史代表、粟生隆寛トレーナーとともに会見。3戦目は来年1月か2月頃の見通しの中、1万1000人の観客が集まった一戦を振り返り、心境を明かした。会見の主な一問一答は以下の通り。

――時間が経って感じることは。

「皆さん、昨日は応援ありがとうございました。ハイライトは見ました。よくなっている部分はあり、デビューからやってきたことは間違いじゃないと思う。新たな課題が見えたので、まだまだ道のりは長いと思えた。自分の中でポジティブに感じています」

――今後の休養はどれくらいを想定。

「左拳は明日病院に行って検査します。昨日から悪化していないので、骨が折れたとかではないと思います。すぐに治したいですね。1週間くらいじゃ治らないですかね（笑）。でも、左手が使えなくてもできることはいっぱいあるので、脳みそを休めてまた練習したい。格闘技がないと頭おかしくなっちゃうので、早く練習したいですね」

――プライベートでやりたいことは。

「サーフィンしたいですね。あとは大自然で時間を感じないところに行きたい。あとは電波から離れたいですね（笑）」

――粟生トレーナー、試合を振り返って。

粟生トレーナー「練習でやってきたことは凄く出せたと思う。新しい課題が見えた試合。中間距離での戦い。ガードを固めた相手への打ち方とか。さらに強い那須川天心を見せられたら。いい方向に行っていると思います」

――浜田代表、今後に期待することは。

浜田代表「4月から一気に伸びたのは昨日の試合でわかってもらえたと思います。練習でやったことも出ましたし、そのあとに相手が10カウントで終わらなかった時にどうするか。手を痛めた時にどうするか。初めての経験ですから、それは昨日の試合でフルラウンドやったことは今後のプラスになると思います」

――那須川選手、今後の抱負を。

「まずは期待に応えたい。強くなるだけですよね。格闘技が大好きなのでそれしか熱中できることがない。今回の課題を次に繋げられるように。自分のパンチで倒れることにビックリした。自分を信じ切れていなくて、『お、倒れるんだ』って。今後は自分を信じることもできるかなと。もっともっと上のステップでまとめ切ることもやっていければ。まだまだ楽しくなると思います。毎日、一生懸命生きて日々強くなっていきたい」

――客席には女性や子どもが多く新鮮だった。

「昨日の試合だけではないですが、どういう形であれ常に見てもらえることが大事。今の時代、『応援お願いします、来てください』では来てもらえない。なんでその人がその競技をやっているか知ってもらわないと応援してももらえない。僕だったら『応援してください』だけではAIにしか見えないんです。キャラクターがないので。僕は格闘技に懸けているので想いを見てもらいたいし、伝えたい。それを常に意識しています」

――メインイベントの寺地拳四朗から参考になること、会話の中で取り入れたいものは。

「あまり話したことがあるわけではないですが、スタイルでも自分にないものを持っている王者。自分でも取り入れたいことはありますが、あまり他の選手の試合をいっぱい見たことがないので、真剣に見てみようかなと思いました」

――自身はセミファイナルだった。

「順番は気にしていない。2つの見方があると思うけど、格闘技目線だけの見方と興行目線。そのバランスを取るためにも今回はセミになったのではないか。順番どうこうより、セミでも、メインでも、1試合目でも自分のパフォーマンスをしないといけない。なのでそこまで気にしていないです」

――本田明彦会長は世界戦は10試合目以内にはやらないと。じっくり育てたいという方針だが、自身の中での考えは。

「僕は最初からずっと言っているけど、飛び級して何かをしたいとは言ったことがない。ファンの方はその場の切り取りで考えたりしてしまう。本田会長がそう言ってくださるし、全部信頼しているので、会長がいうなら間違いないと思います」

――競技の奥深さを感じることは。

「ボクシングの奥深さはずっと感じています。パンチを打つにしても一個、一個に発見があって楽しくて仕方ない」

――倒せるボクサーを目指したい思いがあるのか。

「勝手なイメージですが、ポイントアウトの選手でも倒したいと思っていると思う。その方が楽じゃないですか。そうなれば相手の警戒度も変わるし、ボクシングの幅も変わる。お客さんも会場で見てくれているので、倒して勝つところを見せたいとは常に思っています」