世界陸上でウクライナが金メダル「私たちの国は強い」 戦禍を逃れ、避難続ける21歳マフチフが悲願成就
ブダペスト世界陸上は27日(日本時間28日)、女子走り高跳び決勝が行われ、ヤロスラワ・マフチフ(ウクライナ)が2メートル1で初優勝。ロシアによるウクライナ侵攻で避難生活を続けながら戦い続ける21歳ジャンパーが悲願の金メダルを獲得した。
ブダペスト世界陸上
ブダペスト世界陸上は27日(日本時間28日)、女子走り高跳び決勝が行われ、ヤロスラワ・マフチフ(ウクライナ)が2メートル1で初優勝。ロシアによるウクライナ侵攻で避難生活を続けながら戦い続ける21歳ジャンパーが悲願の金メダルを獲得した。
「素晴らしい大会でした。ついに金メダルが獲得できた。現状を考えれば、私の母国にとっても特に大切なこと。国を守ってくれている軍や、人々に感謝しています。陸上で国を代表する機会をくれました。そこでいい成績が残せて良かったです」
感無量の胸中を明かしたマフチフの頭には、ティアラがあった。英国のファンがくれたもの。「英国はウクライナ人をとても支援してくれて感謝しています。彼は私たちをサポートするためにここまで来てくれました」と感謝を語った。
ウクライナカラーの黄色と水色のアイメイクを施し、2回目で2メートル1にただ一人成功。昨年のオレゴン大会で優勝選手と同じ2メートル2を跳びながら試技数の差で2位に終わった悔しさを晴らした。母国の国旗を背負い、歓喜を表現。その意味を知る会場からは惜しみない拍手が送られた。
ドニプロペトロウシク州生まれのマフチフは、昨年始まったロシアによるウクライナ侵攻以降、国外で避難生活を続けながら同3月の世界室内で優勝。苦しい立場になりながら決して諦めることなく、努力を重ね、ついに世界の頂に立つまでになった。
「大会ではいつもウクライナの人々を喜ばせたいと思っています。ニュースを見るたびに悲しくなるけれど、24年ぶりのメダルを母国にもたらせて嬉しいです」
最後にウクライナに帰ったのは1月という。シーズンが終われば故郷に戻る予定。母国を離れるのは「精神的に複雑な気持ち」と言うが、一方で「私たちは強い国民で決して諦めないことを世界に示す機会です。国を代表することでウクライナでの戦争を世界に忘れさせないのです」と口にする。
そして、こう言って声を大にした。
「今は私たちが戦い続けていることを世界中に見せることが重要です。私たちの国は強いです。国民は強いのです」
母国の誇りを示す金メダルが胸に輝いた。
(THE ANSWER編集部)