敗れたライバルからも愛される北口榛花の人柄と笑顔「やり投げ界で最も笑顔にさせる」「他の誰かが金ならハルカに」【世界陸上】
ブダペスト世界陸上は25日(日本時間26日)、女子やり投げ決勝が行われ、昨年大会銅メダルの日本記録保持者・北口榛花(JAL)は66メートル73をマークし、日本女子26年ぶり、トラック&フィールド種目初の金メダルを獲得。4位で迎えたラスト6投目で大逆転の世界一に輝いた。快挙を演じた日本のエースには、ライバルからも祝福と称賛が相次ぎ、その“世界一愛される金メダリスト”の人間性が浮かび上がった。
ブダペスト世界陸上
ブダペスト世界陸上は25日(日本時間26日)、女子やり投げ決勝が行われ、昨年大会銅メダルの日本記録保持者・北口榛花(JAL)は66メートル73をマークし、日本女子26年ぶり、トラック&フィールド種目初の金メダルを獲得。4位で迎えたラスト6投目で大逆転の世界一に輝いた。快挙を演じた日本のエースには、ライバルからも祝福と称賛が相次ぎ、その“世界一愛される金メダリスト”の人間性が浮かび上がった。
愛される人柄がそのまま表れているようなライバルたちの言葉の数々だ。
「他の選手が金メダルを獲るならハルカに獲って欲しかったからとても嬉しい」
こう言ったのは、銅メダルとなったマッケンジー・リトル(豪州)。最終投てきで63メートル38を投げ、5位から2位に浮上したが、北口のビッグスローで銅メダルに。しかし、自身が投げ終えた後は北口を応援したといい、互いのメダルが確定すると抱き合って祝福した。
「『イエス! イエス! イエス!』って感じ。それからハルカに『あなたは金メダルに値するよ』って伝えたの。だって、そうだからね」と明かし、「銅メダルはとっても嬉しいわ。ハルカに『交換しようよ!』って聞いたんだけど『ノー』って言われちゃった(笑)。でもとっても嬉しいわ」と喜んだ。「彼女の笑顔は本当に周りまで笑ってしまうようなもので、スーパースターよね」と人柄を含めて称賛した。
同じように、その笑顔と人間性の虜になっているのが、3連覇を狙ったやり投げ界のスター、ケイシー・リー・バーバー(豪州)。「とっても陽気で、女子やり投げ界で最も周りを笑顔にさせてくれるようなスマイルよね」。北口自身も憧れているという現役レジェンドは61メートル19で7位に終わってなお、「とってもワクワクさせられる6回目の投てきだった。最も大事な場面でやってのけた彼女におめでとうと言いたい。完全に金メダルに値するわ」と北口を祝福した。
そして、ラスト1投で大逆転され、目前で金メダルが銀メダルとなったルイス・フルタド(コロンビア)も「みんなが叫んでいるのを聞いて負けたのを悟ったわ。でも、とても嬉しいし、キタグチにおめでとうと言いたい」と金メダリストを祝福した。
チェコを拠点にする北口は、流暢なチェコ語も英語も操り、ダイヤモンドリーグで海外を転戦するなど、世界を股にかけて活躍。競技にかける真摯な姿勢はもちろん、何よりも飾らず、愛くるしいキャラクターで周囲を笑顔にして、リスペクトを集める。
日本陸上界の歴史を変えた夜、北口は言った。
「自分が必ず歴史を作ると決めて、ここにやってきた。本当につらいことたくさんあるけど、今日だけは本当に世界で一番幸せです」
今日、世界一幸せな金メダリストは世界一愛される金メダリストでもあった。
(THE ANSWER編集部)