田中希実、驚異の日本新記録「今の100点満点」 アフリカ勢に追随「意地でも順位を落とさない」【世界陸上】
ブダペスト世界陸上は23日(日本時間24日)、女子5000メートル予選が行われ、23歳の田中希実(New Balance)は従来の記録を15秒近く更新する日本新記録14分37秒98の2組6着で決勝進出を決めた。1500メートル準決勝敗退の雪辱を目指したレース。暑さの影響により、当初の予定から約8時間遅れの夜開催に変更され、異例の調整が強いられていた。決勝は26日(同27日)に行われる。
ブダペスト世界陸上
ブダペスト世界陸上は23日(日本時間24日)、女子5000メートル予選が行われ、23歳の田中希実(New Balance)は従来の記録を15秒近く更新する日本新記録14分37秒98の2組6着で決勝進出を決めた。1500メートル準決勝敗退の雪辱を目指したレース。暑さの影響により、当初の予定から約8時間遅れの夜開催に変更され、異例の調整が強いられていた。決勝は26日(同27日)に行われる。
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レースはスタートから20人が牽制し合い、いつもは集団後方につける鉄人女王ハッサンが先頭に立つまさかの展開。田中は3、4番手のインにつけた。1000メートル手前から2番手に上がり、ハッサンにつく展開。1000メートルは2分57秒で通過した。中盤は世界のトップランナーと集団を形成し、日本記録を上回るペースで後続を離して6番手を追走。最後の1周のラストスパートも懸命に食らいつき、6着で飛び込んだ。
記録は廣中璃梨佳が2021年に記録した14分52秒84の日本記録を15秒近く更新する14分37秒98。レース後の取材エリアでは、笑顔が目だった。
「タイムとしての実力は今の100点満点を見せることができたし、自分でも見ることができたのでそれはよかったです。決勝に残れたことの方が嬉しくて、走りながらも、このままラスト1000メートルで凄く失速して(1キロ)3分10秒くらいかかっても日本記録だなということは思ってはいた。でもそうなると、着が取れないし、そういう日本記録は嬉しくないなと思いながらラストも通過していました。
そこは最後まで意地でも今より順位を落とさないことを意識した。それでもやっぱり順位を落としてしまったので、そこはまだまだなんですけど。でも、そこまで失速せずに食らいつけたのでよかったです」
当初の開始時間は午前11時10分だったが、連日の暑さが考慮され、前日に午後7時00分への変更が発表された。田中は7月に5000メートルで日本歴代3位となる14分53秒60で自己ベストを更新していた。
3大会連続3度目の世界陸上は2種目に出場。東京五輪8位入賞の1500メートルは準決勝で4分6秒71の1組12着、全体23番手(1人途中棄権)でともに最下位で敗退した。レース後は「自分が支配するレースができない。(国内外で)いろいろ試しながらやってきたけど、全部自分のため(自分が中心)のレース。井の中の蛙のレースだった」と悔しさを露わにしていた。
昨年オレゴン世界陸上は日本人初の個人3種目に出場。1500メートルは日本人過去最高の準決勝組6着ながら敗退、800メートルは予選落ち、5000メートルは決勝12位に留まるなど涙を流す結果となった。4月からNew Balanceに所属し、覚悟を決めてプロ転向。6月の日本選手権は1500メートルと5000メートルでぶっちぎって史上初の2年連続2冠を達成し、ケニア合宿などを挟んで今大会を迎えた。
決勝へ「決勝は3大会連続になるけど、入賞できたことがないので入賞を狙っていきたい。今日とはまた違った展開になる可能性が高いので、だからこそ今度はどこまで勝負できるか」と強調。「勝負になったら8位になれないという予選のような怖さじゃなく、勝負になって負けてもいいっていう気楽さがあるので、そこはチャレンジの気持ちを持ってスタートラインに立ちたいです」と力を込めた。
(THE ANSWER編集部)