バドミントン日本代表、パリ五輪へ飛躍なるか 「現実味ない」山口茜は世界選手権V3の偉業挑戦
バドミントン日本代表が17日深夜、21日に開幕する世界選手権の開催地デンマーク・コペンハーゲンへ飛び立った。最大の注目は、女子シングルスに出場する山口茜(再春館製薬所)の3連覇挑戦だ。史上最多に並ぶ連覇記録で日本勢初の快挙となるが、山口は「自分の中でそんなに現実味がないので、特にプレッシャーとかはない。できたら凄いなと思います」と笑いながら話し、自然体で臨む姿勢を示した。
21日開幕の世界バドミントン選手権へ出発
バドミントン日本代表が17日深夜、21日に開幕する世界選手権の開催地デンマーク・コペンハーゲンへ飛び立った。最大の注目は、女子シングルスに出場する山口茜(再春館製薬所)の3連覇挑戦だ。史上最多に並ぶ連覇記録で日本勢初の快挙となるが、山口は「自分の中でそんなに現実味がないので、特にプレッシャーとかはない。できたら凄いなと思います」と笑いながら話し、自然体で臨む姿勢を示した。
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直前合宿は、合流直前に足に痛みが出たため、フルメニューをこなせなかったが、朴柱奉ヘッドコーチ(HC)によれば、MRI検査の結果は問題なく、通常の練習メニューに戻ったという。7月末のダイハツジャパンオープンも3連覇の期待を受けていたが、準々決勝で敗退。しかし、山口は「まずは、思い切ってプレーすること。思い切りの良いショットを打つ部分で感覚は上向いてきた。ジャパンオープンの時と比べて、少し自信を持って打てるショットは増えているのかなと思います」と相手を驚かす独特のラリーを取り戻す手応えを語った。朴HCが警戒する世界ランク1位のアン・セヨン(韓国)らライバルは多いが、シングルスでは女子初となる偉業に挑む。
混合ダブルスの渡辺勇大/東野有紗(BIPROGY)は、悲願の初優勝を目指す。昨年は2大会連続の銀メダル。東野は「去年、悔しい思いをした。今年こそは、決勝の舞台に立って勝てるように頑張りたい」と意気込んだ。7月末に東京で行われたダイハツジャパンオープンでは、ライバルである中国、タイのペアを撃破して優勝。頂点に立てる存在であることを証明した。直後のオーストラリアオープンは、出場回避。渡辺は「休めたのは、大きかった。連戦はモチベーションが上がりにくい部分があるけど、世界選手権にフォーカスしてフレッシュな気持ちで臨める」と調整に自信。「みんなが世界チャンピオンと言ってくれるのは、世界選手権で金メダルを獲った人。そう言われるようになりたいなとは思っている」と天下取りに意欲を示した。
男子シングルスでは、昨季後半から急成長を見せている22歳の奈良岡功大(FWDグループ)に注目が集まる。日本勢4番手で初出場を果たした昨年は、準優勝したクンラウット・ヴィジサーン(タイ)に2回戦で敗退したが、現在は世界ランキングを4位(8月15日更新時)まで上げており、第4シードでエントリー。上位を狙う存在だ。「去年より多く勝ちたいし、できれば上に行きたい。ただ(連戦で)疲労も全然抜けていない状態。勝てるかどうか分からないけど、一戦一戦、全力で戦いたい」と控え目だったが、初のメダル獲得が期待される。
世界選手権は、世界ランキングポイントが最も高く設定されている大会だ。バドミントンは5月から2024年パリ五輪出場権獲得レースが行われており、上位に入ること自体が重要な意味を持つ。上記選手のほか、2021年優勝の保木卓朗/小林優吾(トナミ運輸)らが出場する男子ダブルスや、2018年、19年に連覇を果たした松本麻佑/永原和可那(北都銀行)らが出場する女子ダブルスでも、五輪出場に近付く上位進出が期待される。松本/永原は、女子シングルスの山口とともに日本勢初となる3回目の優勝を目指す。
男子シングルスで桃田賢斗(NTT東日本)が無敵を誇った2019年に全種目でメダルを獲得(金2個、銀3個、銅1個)した当時の勢いには及ばず、東京五輪を目指した時期に比べると絶対的な強さはない。それは、朴HCも「2017年からずっと(いずれかの種目で)金メダルを獲っていますが、今回が一番心配な大会。怪我をしている選手も結構いる」と認めるところ。それでも、依然として全種目に有力選手を揃えていることも事実。偉業に挑戦する山口を筆頭に、パリ五輪のメダル獲得へ可能性が膨らむ飛躍が期待される。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)