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井上尚弥「ナイーブになりすぎ、何の記事見たのか」 フルトン陣営と舌戦「テーピングの巻き方で論争」主張受け

ボクシングのWBC&WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチが25日、東京・有明アリーナで行われる。22日は挑戦者の井上尚弥(大橋)と2団体統一王者スティーブン・フルトン(米国)らが、神奈川・横浜市内のホテルで公式会見に出席。ついに初対面となった両者が緊張感のある中で意気込みを語ったが、フルトン陣営は「クリーンに。安全な方法でテープを巻いてほしい」と異例の訴えを繰り広げた。戦績は30歳の井上が24勝(21KO)、29歳のフルトンが21勝(8KO)。試合はNTTドコモの映像配信プラットフォーム「Lemino」で独占無料生配信される。

公式会見に出席したスティーブン・フルトン(左)と井上尚弥【写真:高橋学】
公式会見に出席したスティーブン・フルトン(左)と井上尚弥【写真:高橋学】

7.25世界戦へ会見

 ボクシングのWBC&WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチが25日、東京・有明アリーナで行われる。22日は挑戦者の井上尚弥(大橋)と2団体統一王者スティーブン・フルトン(米国)らが、神奈川・横浜市内のホテルで公式会見に出席。ついに初対面となった両者が緊張感のある中で意気込みを語ったが、フルトン陣営は「クリーンに。安全な方法でテープを巻いてほしい」と異例の訴えを繰り広げた。戦績は30歳の井上が24勝(21KO)、29歳のフルトンが21勝(8KO)。試合はNTTドコモの映像配信プラットフォーム「Lemino」で独占無料生配信される。

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 井上はバンタム級王座に挑戦した2018年5月以来、5年2か月ぶりの挑戦者。チームTシャツは挑戦者カラーの青にするなど、「過去イチ」と高いモチベーションを持って調整してきた。この日はテレビカメラ約15台、100人近い報道陣や関係者が集結する異例の注目度だ。

 王者のフルトンからコメント。「自分は最高の気分でいられています。期待してください」と笑顔を浮かべたが、異例の訴えが繰り広げられたのはこの後だった。司会者が井上に話を振ろうとすると、フルトン陣営のワヒード・ラヒームトレーナーが遮ってコメント。あらかじめ準備していたのか、関係者に感謝を述べた後にスマートホンを見ながら読み上げた。

「まず始めにこの機会をくださった皆さん、神に感謝したい。この試合にかかわってくださった皆さんにお礼を申し上げます。帝拳ジム、大橋ジム、日本サイドでこの試合を実現させるために尽力してくださった皆さんに感謝申し上げます。来日した後も皆さんが準備するために時間、場所を提供してくれた。日本人の皆さんがとても温かい。滞在中もサポートしてくれた。日本に引っ越したいくらいだ。この町、国は本当に素晴らしいと実感している。

 普段、会見は我々が質問を受けるためのものだが、WBC、WBO、JBCに私から聞きたいと思う。この質問に皆さんが真摯に答えてくれると思っている。日本の皆さんは自分たちに誇りを持っていると思う。質問は、『この試合を開催するにあたって2人のファイターがリングに上がるために最も重要なものは何か?』です。どなたか、この質問に応えてくれる人は?」

 突然の逆質問に誰も手を挙げず。同トレーナーはこう大演説を繰り広げた。

「私がこのように発言しているのも、全力をかけて本人が真剣にこの試合に取り組んできたからだ。前回は自分たちに納得のいっていない結果だった。この試合をクリーンに行いたいと思っている。試合そのものが選手たちのレベル、質を下げることのないことを祈る。このような問題がおこるようなら選手がリングに上がる意味がなくなる。自分の発しているものがしっかり耳に届き、改善されることを願って発言しておきます。安全な方法でテープ(バンテージ)が巻かれることを願っている」

 さらに質疑応答で、同トレーナーに以前の試合で何があったのか質問が飛んだ。これに対し、「イノウエのハンドラップ(バンテージ)の記事を見た。それでも(井上は)『安全な』と話したそうだ。そこについての話だ。私は『互いに安全なテーピングをしましょう』というのが言いたかった。イノウエの過去の試合を見て思ったことだ。英語の記事では、イノウエがバンテージを巻く映像がある。そこで巻き方に論争が起きている。この試合では問題が起こらないように安全に、レフェリーにも求めたい」と主張した。

 陣営が何の記事を見たのか定かではないが、井上は笑顔を浮かべて意に介していない様子。「何か、凄いナイーブだなと思います。自分は24戦やって、全試合で正々堂々と試合をしている。何の記事を見たのかわからないけど、少しナイーブになりすぎかなと。こちらも正々堂々と戦いたい」と舌戦を繰り広げた。

 さらに会見終了時、ラヒームトレーナーが再び進行を遮って主張。「先ほどの言葉に追加だが、イノウエからナイーブになっているとあったが、私がフルトンと日本に来るのは問題なく試合ができるからだ。選手のどちらかが有利になってはいけない。先ほどの記事でテーピングの巻き方で論争になっている。パンパンのグラブで試合をするのは公平ではない。フルトンに公平さを与えるためにここで発言をした」と応戦した。試合前の陽動作戦の可能性もあるが、会見場にはさらなる緊張感が走った。

 井上が拳を痛め、当初の5月7日から延期された一戦。1年1か月ぶりのリングとなるフルトンは現在4戦連続で判定勝ちするなど、高い技術力を誇る試合巧者だ。1つ上のフェザー級転向も視野に入れ、身長169センチは井上を4センチ上回る。アマチュア時代は米国外で試合経験があるが、プロでは22戦目で初めて。モンスターの挑戦を受けるため、敵地に乗り込んできた。

 井上は昨年12月にバンタム級で4団体統一。今年1月に王座を返上し、1階級上で1.8キロ重いスーパーバンタム級に転向した。もともとの自身の体格を上回る相手が多い新階級への挑戦。過酷と知られる元世界3階級制覇王者・八重樫東トレーナーのフィジカルトレーニングを受け、肉体強化を図ってきた。勝てば井岡一翔に次ぐ日本人2人目の4階級制覇となる。

(THE ANSWER編集部)


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