大学の部活指導で大事な点は? ラグビー名将・岩出雅之「籠の中の鳥だと成長しない」
一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)は3月6日、「UNIVAS AWARDS 2022-23」を都内で開催し、大学スポーツの発展に貢献した学生アスリートやスポーツに関わる学生・OB・OG、指導者、団体を全13部門で表彰した。昨年度の表彰式で「コーチ・オブ・ザ・イヤー」最優秀賞を受賞した帝京大ラグビー部前監督の岩出雅之氏(現・帝京大スポーツ局長)は、同賞のプレゼンターとして登壇。式典後の取材で大学スポーツの在り方と、ラグビー界が直面する競技離れの現状について自身の見解を語った。
「UNIVAS AWARDS 2022-23」にプレゼンターとして登壇
一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)は3月6日、「UNIVAS AWARDS 2022-23」を都内で開催し、大学スポーツの発展に貢献した学生アスリートやスポーツに関わる学生・OB・OG、指導者、団体を全13部門で表彰した。昨年度の表彰式で「コーチ・オブ・ザ・イヤー」最優秀賞を受賞した帝京大ラグビー部前監督の岩出雅之氏(現・帝京大スポーツ局長)は、同賞のプレゼンターとして登壇。式典後の取材で大学スポーツの在り方と、ラグビー界が直面する競技離れの現状について自身の見解を語った。
1996年から帝京大ラグビー部監督を務めた岩出氏は、2009年度の全国大学ラグビー選手権を制し創部40年目で初の日本一に導くと、そこから9連覇を達成。昨年1月に4大会ぶり10度目の優勝を果たすと、その試合後に退任を発表した。堀江翔太、坂手淳史(ともに埼玉パナソニックワイルドナイツ)、姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)、流大(東京サントリーサンゴリアス)ら数々の日本代表選手を育てた大学ラグビー界の名将であり、現在は帝京大スポーツ局で局長を務めている。
今回の「コーチ・オブ・ザ・イヤー」で最優秀賞に輝いた日本体育大レスリング部長兼監督の松本慎吾氏らを表彰した岩出氏は、「どの競技も発展的に進化されている」とした上で、「ウェルビーイング(心身が健康で、社会的にも満たされた状態)を基に、しっかり学生の今と未来をつなげていくような考え方が、少しずつ根付いてきていますし、そういう指導者が多くなっていると思います」と、現在の大学スポーツについて語った。そして学生に対し、指導者が「心と考え方の成長期に、どんな環境を与えてあげるかが大事」と持論を展開する。
「青年期ですから、大学1年生と4年生だと心の状態も体の状態も違う。ただ中学生の頃の変化と違って、精神的に落ち着ける時期ですし、エネルギーを持って自分で自分のことをコントロールしながら、それを内発的な動機付けから上手く躍動させられる。そういう時に籠の中の鳥にしてしまうと、やっぱり学生には不満も残るし、成長もしません」
学生が主体性を持って行動することこそが、大学部活動の良さだ。しかし岩出氏は、すべてを「学生まかせ」にするのではなく、「大学が関わって育てていく」ことが大事だと続け、現在の帝京大スポーツ局ではそうした未来につながる環境づくりに取り組んでいるという。