FIFAが世界10大誤審の第1位に認めたゴール 誰もが騙されたマラドーナの「神の手」【W杯事件簿】
1930年の創設から今回のカタール大会で22回目の開催となるFIFAワールドカップ(W杯)。4年に一度、世界一の称号をかけて激突する大会ではこれまで数々の事件が起こってきた。1986年メキシコ大会では全世界のサッカーファンの誰もが知り、国際サッカー連盟(FIFA)も認めた“世紀の大誤審”が発生。直後のスーパープレーとともに希代のスーパースターの運命を決めた大会だった。
W杯で起こった事件を振り返る
1930年の創設から今回のカタール大会で22回目の開催となるFIFAワールドカップ(W杯)。4年に一度、世界一の称号をかけて激突する大会ではこれまで数々の事件が起こってきた。1986年メキシコ大会では全世界のサッカーファンの誰もが知り、国際サッカー連盟(FIFA)も認めた“世紀の大誤審”が発生。直後のスーパープレーとともに希代のスーパースターの運命を決めた大会だった。
【特集】初代金メダリストが次世代に繋ぐサポートの輪「夢を持ってくれたら」 / スケートボード・堀米雄斗選手インタビュー(GROWINGへ)
その時は誰もが騙された。1986年メキシコ大会、3年前のフォークランド紛争の因縁を残すイングランドとアルゼンチンがアステカスタジアムで行われた準々決勝で対戦。スコアレスで折り返した後半6分、イングランドMFホッジのキックミスで生まれたゴール前の浮き球に反応したのはアルゼンチンのエースFWディエゴ・マラドーナだった。
マラドーナは、飛び出してきたイングランドGKシルトンより先にボールに到達し、頭上に重ねた左手でパンチングするような形でボールをはじいた。ゴールはそのままゴールに吸い込まれ、反則を確認できなかった主審もゴールと認定。試合後、マラドーナが「ゴールはマラドーナの頭が少しと神の手が少しのおかげだ」と語ったことから、全世界で「神の手」によるゴールと報じられた。
4分後、自陣中央付近でボールを持ったマラドーナはドリブルを開始。5人の選手を次々とかわし、最後はGKシルトンまでかわす伝説の「5人抜きゴール」も決めた。世紀の大誤審と世紀のスーパープレーが同じ試合で繰り広げられ、マラドーナの名を一気に世界に轟かせた。この試合を2-1で勝ったアルゼンチンは決勝も勝って優勝。「マラドーナのための大会」と呼ばれた。
この「神の手ゴール」はFIFA100周年記念の際に作成されたDVD「FIFA FEVER」の中で「サッカーW杯における世界10大誤審」の第1位として収録。また「5人抜きゴール」は2002年日韓大会期間中に公式ウェブサイト内で投票された「ゴール・オブ・ザ・センチュリー」でも1位となった。
(THE ANSWER編集部)