強豪中学で八村塁の1年後輩 Bリーグ富山の193cm“長身PG”、飴谷由毅の挑戦が面白い
8歳上の先輩PG宇都から学んだこと
3日の名古屋D戦(72-91)では、飴谷がレイアップをブロックされる場面もあった。ただしゴール下へ切れ込んでいける躍動感は飴谷の魅力。タイミングや間合いを覚えて、適応していくしかない。指揮官は言葉では“我慢”を口にしつつ、若手の挑戦について嬉しそうな表情でコメントしてくれた。
「経験がないので、プレッシャーが来るとミスが出たり、余裕を失う部分はこれからの課題です。でも飴谷はゴール下に切れ込んでレイアップに行く回数が増えている。今日はブロックされましたけど、ゲームに出て、外国籍選手の高いブロックショットをされてみないと覚えられません。そこは我慢しながら、期待しています」
PGは消耗が激しいポジションで、他のポジション以上に“枚数”が必要になる。他にもベテランの水戸健史や、小野龍猛がPGとして試されたという。飴谷のPG挑戦はHCからの提案もあったが、本人も「ぜひ僕にやらせてくださいとは言いました」とのこと。飴谷はまず、自らの“ボール運び”についてこう説明する。
「引いてしまう、下のほうでもらってしまってプレッシャーに負けるケースが多い。なるべく『上からもらおう』と炎さんやチームで話しています。あとは『縦に切っていく』ことが重要で、切っていく意識をもうちょっと上げていけば、チームとしても打開できるのかなと思っています」
飴谷は手足が長く、スピードに恵まれている。富樫勇樹(千葉ジェッツ)や河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)のように小刻みに方向を変えるスキルはないが、豪快に切れ込んでいく直線的なドライブは強みになる。
スタッツを見ると、まだ安定はしていない。3日の名古屋D戦は18分51秒の出場で6アシスト、2ターンオーバーと悪くない数字を記録した。しかし翌4日は出場が9分41秒にとどまり、3アシストで3ターンオーバーを喫している。プロとして戦う以上、相手に対応されても「それ以上」の成長・適応を見せていかねばならない。
飴谷は大東文化大3年時から特別指定選手として富山に合流し、チームを長く引っ張った宇都直輝と合計3シーズン練習や試合をともにしている。宇都は8歳上だが、同じような体格と強みを持っていて、何より実績があった。
宇都から学んだことについて尋ねると、こう語ってくれた。
「プレーよりは、精神的なところというか、もう『やれ』としか言われなかったので。PGをやる以上、僕が切っていかないと始まらないですし、圧をかけられて(ボールを運べないで)いたらチーム全体が終わる。強気なところは見て勉強になりました」