体重超過から1時間-1kgの王者からベルト奪取 桑原拓が3-0完勝「負けたら終わりと…」
ボクシングの東洋太平洋フライ級(50.8キロ以下)タイトルマッチ12回戦が25日、東京・後楽園ホールで行われ、挑戦者の同級14位・桑原拓(大橋)が王者ジーメル・マグラモ(フィリピン)に3-0の判定勝ち(116-112、117-111×2)を収めた。24日の前日計量では、初防衛戦のマグラモが1度目に0.9キロの体重超過。わずか約1時間後の再計量で1キロ落とし、50.7キロでパスしていた。戦績は27歳の桑原が11勝(6KO)1敗、28歳のマグラモが26勝(21KO)3敗。観衆は1382人。
東洋太平洋フライ級タイトルマッチ
ボクシングの東洋太平洋フライ級(50.8キロ以下)タイトルマッチ12回戦が25日、東京・後楽園ホールで行われ、挑戦者の同級14位・桑原拓(大橋)が王者ジーメル・マグラモ(フィリピン)に3-0の判定勝ち(116-112、117-111×2)を収めた。24日の前日計量では、初防衛戦のマグラモが1度目に0.9キロの体重超過。わずか約1時間後の再計量で1キロ落とし、50.7キロでパスしていた。戦績は27歳の桑原が11勝(6KO)1敗、28歳のマグラモが26勝(21KO)3敗。観衆は1382人。
桑原は初回から積極的に手数を増やした。左ボディーを入れるなど会場はどよめき。フックとのコンビネーションでリズムをつくっていった。マグラモは圧力をかけるが、有効打が出ない。一方、中盤も桑原の拳が何度も鈍い音を響かせた。5回は時折もらう場面もあったが、自身もアッパー、フックを織り交ぜて着実に強打を入れていった。
7回は右オーバーハンドを2発打ち込み、観衆を沸かせた。終盤も前に出る相手に対し、足を使っていなす展開。打ってくる相手に的確なパンチを返した。勝利を決めた桑原はリング上のインタビューで「ありがとうございました!」と絶叫。「やっぱり去年この場所で日本タイトルマッチで敗れて、本当に自信をすべて失った」と振り返り、こう続けた。
「またこうやってチャンスをもらって、ここで負けたら終わり、後がないという状態で戦っていた。ここでベルトをかけることができて、ホッとしています。またこの舞台に這い上がってくることすらも、負けた直後は自信がなかったけど、ここでチャンスをつくってくれた大橋(秀行)会長、わざわざ日本まで来てくださったマグラモ選手、陣営、支えてくれたスタッフもありがとうございました」
前日計量では桑原がリミットでパスした一方、マグラモが1度目に900gオーバー。後楽園ホールの通路で縄跳びなどで体を動かし、汗を流した。絞った体から2時間以内に900グラムを落とすのは難しく、桑原陣営の大橋秀行会長も上限52.8キロの当日計量(25日午後6時)を想定していた。しかし、王者は1時間強で1キロ減。「大丈夫。落とせると思っていた」と事もなげに汗を拭っていた。
桑原は昨年7月、日本同級王者ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)に10回TKO負け。今年3月に再起戦で勝利を収め、7月に2連勝を飾った。今回が2度目のタイトル挑戦だった。
「スピードは僕の武器。それを生かして緩急をつけた。今までスピード一本だったけど、強弱をつけて相手のプレスを受けないことを心掛けた。これで世界ランクに入る。でも、今日の内容だと世界はまだまだ」
同門の井上尚弥は12月13日に東京・有明アリーナでポール・バトラー(英国)と4団体統一戦を行う。桑原はリングサイドで見守った井上に向かって「このあと井上尚弥選手にスパーリングパートナーにご指名いただいているので、バトラー戦での4団体統一の力になれればと思います」と頭を下げた。
(THE ANSWER編集部)