香川真司がキャリアを考える次世代アスリートに特別メッセージ「限られた時間の中で何をするか」
第2部は水戸ホーリーホック・西村GMが基調講演
【第2部 水戸ホーリーホック・西村GM基調講演】
西村氏「選手として11年間、計6チームでプレーしました。現在は水戸ホーリーホックで7年目を迎え、ゼネラルマネジャーを務めています。2014年~2020年の8年間、J リーグの新人研修の講師を務め、約1000人のJリーガーと関わっていました。2016 年、Jリーグクラブ強化担当者に大規模なアンケートを行いました。『Q.長く活躍する選手に必要な能力とは?』という質問には、技術力、身体能力、人間力の中で、『人間力』と答えた方が半数近くいるという結果になりました。
人間力とは何かを深掘りしていくと、『傾聴力』と『主張力』の2つの回答が多い結果が出ました。サッカー選手が持っている力を分解していくと、テクニカルスキル(専門性)が一番上にあり、その土台には、ポータブルスキル(社会人基礎力)、スタンス(価値観・使命感)の2つがあると考えています。水戸ホーリーホックでは、ポータブルスキルとスタンスの2つを大切にしています」
時代の変化により、アスリートマネジメントにも変化が生じていると話す西村氏。
西村氏「時代の流れの中で様々な価値観が出てきています。水戸ホーリーホックでは、18歳から44歳までを採用していますが、その中でマネジメントの方法も変わってきていると感じています。教育改革実践家である藤原和博さんが開発した『よのなか科』というキャリア開発を目的にしているフレームワークを応用し、J リーグでは、『Jリーグ版よのなか科』を中学生に向けた教育プログラムとして開発しています」
水戸ホーリーホックが取り組んでいる「Make Value Project」について話を進めた。
西村氏「アスリートにおける課題としては、『競技者という狭いコミュニティにおいて人間関係が限定的になってしまい、偏った価値観やスタンスの形成に繋がってしまう』『競い合う環境(相対的に比較される)にいることで絶対的な自分が確立しづらい』『競技を行う目的が、好きだから、うまくなりたいから、というだけになってしまう』というものがあります。そんななか、水戸ホーリーホックでは主に3つの取り組みを行っています」