東京パラ車いすバスケ銀メダル 古澤拓也&鳥海連志が対談、互いの著書の印象は?
東京パラリンピック車いすバスケットボール銀メダリスト・古澤拓也の著書「車いすでも、車いすじゃなくても、僕は最高にかっこいい。」(小学館)の刊行を記念し、同じく車いすバスケットボール日本代表で「異なれ―東京パラリンピック車いすバスケ銀メダリストの限界を超える思考―」(ワニブックス)の著者・鳥海連志とのオンライントークイベント・合同記者会見が6日に行われた。
古澤の著書「車いすでも、車いすじゃなくても、僕は最高にかっこいい。」刊行記念イベント
東京パラリンピック車いすバスケットボール銀メダリスト・古澤拓也の著書「車いすでも、車いすじゃなくても、僕は最高にかっこいい。」(小学館)の刊行を記念し、同じく車いすバスケットボール日本代表で「異なれ―東京パラリンピック車いすバスケ銀メダリストの限界を超える思考―」(ワニブックス)の著者・鳥海連志とのオンライントークイベント・合同記者会見が6日に行われた。
チームの在籍期間が長く、「お互いの良いところも悪いところも知り尽くしている」という古澤と鳥海。二人はプライベートでも交流があり、連志・拓ちゃんと呼び合うほどの仲だ。相手に直して欲しいところはあるかと聞かれ、鳥海は「メンタルトレーニングをしてきたから、ありのままを受け入れるようになった」と語りつつ、「拓ちゃんは運転をもっと優しくしてほしい」と暴露。古澤が照れ笑いする一幕も。
野球少年だった古澤は12歳で車いすユーザーに。野球ができなくなったことに絶望していたところ、車いすテニスの国枝(慎吾)のプレーを見て、「車椅子でもかっこいいんだ!」と感激した経験があったという。「自分の姿やチームメイトの姿をみて、かつての自分のように次の世代が『車椅子でもかっこよくなれる』と思ってもらえたら嬉しい」と、著書「車いすでも、車いすじゃなくても、僕は最高にかっこいい。」執筆のきっかけを明かした。
中学1年生のときに車いすバスケットボールを始めた鳥海は、「自分が幼少期から障害を乗り越えてきた経験は、きっと参考になる人がたくさんいるはず」という思いがあったそう。鳥海のルーツが詰まった著書「異なれ―東京パラリンピック車いすバスケ銀メダリストの限界を超える思考―」について、「僕の本というより、僕を育てた母の本」と語った。
鳥海の著書を発売前から予約していたという古澤は、「上昇志向に刺激を受け、アスリートとしても元気をもらえる本だった」と絶賛。「チャレンジをしなさい」という母のスタンスなど、鳥海家との意外な共通点がみつかったという。「2冊通して読んでもらうと、いま壁にぶち当たってる人や子育て中のお父さんお母さんの参考になるのでは」と“2冊買い”を推奨した。
鳥海は、古澤の著書を読んで「同じ競技をやっているけど、違う障害を持っているというのがパラスポーツならでは。とはいえ、日常にも違う個性を持った人がたくさんいる。それが自分達の場合は障害というだけ。障害に対して自分は理解があるけど、他の部分では気づかない部分もあるかもしれない。自分の先入観や固定概念は打ち壊したほうがいいと拓ちゃんの本を読んで思ったし、そう思うきっかけになるんじゃないか」と語った。
自分のプレー映像を見ることがあるのかという問いには「こそばゆくて見れない」と鳥海。分析のために見ることはあっても、オフではあまり見ないのだそう。古澤も「自分のプレーを実際の自分の目を通して見るのと、動画で見るのとでは乖離がある気がする」として、プライベートでは野球、サッカー、バスケの順に見ると意外な趣味を明かした。イベントの最後に、今後の展望を問われた二人。鳥海は、選手でありながらも「大会を主催したい」と抱負を語り、古澤は「今後の車いすバスケットボール界の革新のため、発信力を高めていきたい」と語り、9月に鳥海や後輩世代が出場するU23の世界大会の優勝に期待を寄せた。
会見後の囲み取材では、「パラスポーツという枠を超えて、車いすバスケットボールを1つのスポーツやエンタメとして、サッカーや野球のような存在に押し上げていきたい」(古澤)、「東京パラリンピックで競技性はアピールできたと思うので、音響や照明を盛り込んで演出部分でも楽しめるようになれば」(鳥海)と車いすバスケットボール界の未来を語った。
それぞれの著書をどんな人に読んで欲しいかという質問には、「『車いすでも、車いすじゃなくても、僕は最高にかっこいい。』は、障がいのある子どもやその親御さんに向けて書きました。でも、今悩みを抱えている人にも現状を打破するきっかけを与えられる本になったと思います」(古澤)、「『異なれ―東京パラリンピック車いすバスケ銀メダリストの限界を超える思考―」は、若い世代が自分達の個性を認めあえる社会を作る手助けになるはず。これを読んで、子どもたちがもっと障害を個性の1つとしてフランクに捉えるようになってくれたら」(鳥海)とアピール。二人の著書は全国書店、オンラインブックストアで発売中だ。
(文=小西 麗)
■古澤 拓也
1996年神奈川県生まれ。車いすバスケットボール男子日本代表。WOWOW所属。パラ神奈川スポーツクラブ在籍。先天性疾患(二分脊椎症)とその合併症の影響で、小学6年から車いすでの生活となる。13歳の時に車いすバスケットボールを始め、高校2年でU23日本代表デビュー。2017年のU23世界選手権では、キャプテンとして日本のベスト4進出に貢献、自身もオールスター5に選出される。日本代表として出場した東京2020パラリンピックで銀メダル獲得。
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■鳥海 連志
1999年長崎県生まれ。車いすバスケットボール男子日本代表。WOWOW所属。パラ神奈川スポーツクラブ在籍。生まれつき両手足に障がいがあり、脛(けい)骨が欠損していた両下肢を3歳の時に切断。中学1年生の時に学校関係者に誘われたことがきっかけで、2011年に佐世保WBCで車いすバスケットボールを始めると、すぐに九州地方で頭角を現す。2015年に三菱電機2016IWBFアジアオセアニアチャンピオンシップ(千葉)に出場すると、日本代表に定着。17歳でパラリンピック2016年リオ大会に出場。2021年東京大会では、大会MVPに選出される大活躍で、チームを大会史上初の銀メダルに導いた。
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「異なれ―東京パラリンピック車いすバスケ銀メダリストの限界を超える思考―」(ワニブックス)(https://www.amazon.co.jp/%E7%95%B0%E3%81%AA%E3%82%8C-%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%83%E3%82%AF%E8%BB%8A%E3%81%84%E3%81%99%E3%83%90%E3%82%B9%E3%82%B1%E9%8A%80%E3%83%A1%E3%83%80%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E9%99%90%E7%95%8C%E3%82%92%E8%B6%85%E3%81%88%E3%82%8B%E6%80%9D%E8%80%83-%E9%B3%A5%E6%B5%B7-%E9%80%A3%E5%BF%97/dp/4847071387/ref=pd_lpo_1?pd_rd_i=4847071387&psc=1)
(THE ANSWER編集部)