「泣くな」は間違い― 世界1位マレーが持論、本人に聞く主張の意図は?
昨シーズン、29歳にして並み居るライバルを追い抜き悲願の世界1位に到達したマレーは、世界情勢や社会問題などに関心を抱き、公の場で意見を述べることを厭わぬアスリートだ。ハフィントン・ポストでマリーが主張したのは、男は人前で涙を見せてはならないという固定観念や、それを強いる社会の空気が、いかに男性を追いこんでいるかということだ。
テニス界のスター選手が「自殺防止」へ持論 「今こそ何かを変えなくては」
「ウィンブルドンのセンターコートで、ロジャー・フェデラーに敗れ涙を流した時、あらゆることが変わったと感じた。誰も僕を笑いはしない。むしろ親身になっていた。人々は、僕が仮面を外し素顔を見せたことに、敬意を示してくれていた」
昨年末、英国版“ハフィントン・ポスト”にそのようなコラムを書いたのは、男子テニス世界ナンバー1のアンディ・マレーである。そのコラムは、各界の識者や著名人たちが“英国での男性自殺者の増加”について寄稿するコーナー内の一篇だった。
昨シーズン、29歳にして並み居るライバルを追い抜き悲願の世界1位に到達したマレーは、世界情勢や社会問題などに関心を抱き、公の場で意見を述べることを厭わぬアスリートだ。特に性差別や男女同権に対しては敏感で、性差に基づく先入観を否定する立場を確立している。
ハフィントン・ポストでマリーが主張したのは、男は人前で涙を見せてはならないという固定観念や、それを強いる社会の空気が、いかに男性を追いこんでいるかということだ。
2014年、英国では6109人が自ら命を絶ち、そのうち4623人が男性だったという。
「この国では、45歳以下の男性の死因第1位が、自殺だ。今こそ、何かを変えなくてはいけない」
コラムの中で、マリーはそう強く訴えている。