五輪出場の元陸上選手が被災地の子供たちに速く走る方法伝授 来春発表会へ
東日本大震災の被災地・岩手県宮古市から一人でも多くの陸上選手が出てほしい――。そんな思いを胸に、子供たちの指導を始めた元陸上選手がいる。
アテネ五輪代表の伊藤友広さんが東日本大震災の被災地へ
東日本大震災の被災地・岩手県宮古市から一人でも多くの陸上選手が出てほしい――。そんな思いを胸に、子供たちの指導を始めた元陸上選手がいる。2004年アテネ五輪日本代表として男子1600メートルリレーに出場した伊藤友広さんだ。
伊藤さんは高校時代に国体(少年の部)400メートルで優勝するなど10代の頃から才能が開花。法大進学後の4年時にアテネ五輪の1600メートルリレーメンバーに選ばれた。決勝ではメダル獲得こそ逃したものの、3位のナイジェリアにわずか80センチまで迫り、過去最高となる4位に入賞。現役引退後は、国際陸上競技連盟の公認指導者資格(キッズ対象)を取得し、400メートルハードルの日本記録保持者で計3度の五輪に出場した為末大さんらとともに、子供たちへの指導などを行っている。
そんな伊藤さんは秋田県出身ということもあり、東日本大震災後は東北の小学校に何度も足を運び、かけっこ教室などを行いながら支援活動を継続してきた。今年3月には公益財団法人東日本大震災復興支援財団が立ち上げた「東北『夢』応援プログラム」にも賛同。その一環として行われた今月19日の同イベントでは、岩手県宮古市の高浜小学校を訪問。小学生25人に対して特別授業を実施し、速く走るポイントなどを指導した。
伊藤さんが重点的に教えたのは、スピードに乗って走るための基本である「ジャンプ」と「スキップ」の2点だった。「自分の体が宙に浮いているな、という気持ちで走ってみよう」などとアドバイスをしつつ、軽やかなステップを実践すると、子供たちからは感嘆の声が上がった。
この「東北『夢』応援プログラム」は1回限りの指導では終わらず、「スマートコーチ」と呼ばれるアプリを活用して長期的に指導することが特徴の一つ。指導する側が毎月課題を提示し、子供たちは現地コーチの協力のもと、その課題に取り組む様子を動画で撮影。それをやり取りすることでレベルアップを図っていく。今回の直接指導は1時間ほどだったが、伊藤さんと子供たちとのやり取りは来年3月まで続き、定期的に指導していくことになる。
走り方を学ぶ子供たちにとっても、指導する伊藤さんにとっても新たなチャレンジ。この成果の発表会は来年3月に実施される予定だ。
【了】
ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer