「戦術どうこうじゃない」 Bリーグ三遠が放った“エナジー”、泥沼14連敗を脱出
大事な場面を「任せられる選手に」
今季の三遠は、ベテランの太田敦也と岡田慎吾、昨季加入した津屋、サーディ・ラベナ以外のロスターを刷新する改革を断行。外国籍選手も総入れ替えを行った。昨季リーグワーストだった失点数(平均87.2点)、リーグ最少の3ポイントシュートの成功数(6.37本)という攻守の課題を改善すべく、ディフェンス力とシュート力に定評のある松脇、杉浦佑成、津山尚大らを積極的に獲得。チームスローガンを「SHIN!SAN-EN」と定めて、一からチームづくりを進めてきた。
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開幕前のインタビューでヴィチェンティッチHCは、「12人全員がキープレーヤーだと思っています。1人のプレーヤーが活躍したからといって勝てるわけではないので、毎試合キープレーヤーが変わって出てくるようなチームが理想。その中でチームが勝つためにコート上でリーダーシップを発揮できる選手がどんどん出てくることを期待しています」と語っていた。連敗ストップのキープレーヤーとなったのは、ファイルアウトになったが、鬼の形相でリングにアタックし続けたラベナと、クラッチタイムに3ポイントシュートを決め切って三河に流れを渡さなかった松脇の若い2人だった。
今季富山から加入した松脇は、昨季も平均5.2得点と新人王候補にも挙げられる活躍を見せていたが、「(周りの選手に)任せてしまっている部分があった。チームは勝っていましたが、自分が貢献して勝ったという感じではなかった。自分のプレーもできていないし、自分的には納得していなかった」という。
新天地に活躍の場を求めたのは、「任せられる選手、『やってこい』と信頼される選手になりたい」という思いがあったからだ。「外国人選手だけでなく、日本人の誰かが二桁(得点)取らないと勝てないとよく津屋とも話すんですけど、去年よりも自分がやらなきゃという気持ちはありますし、そこは自分が変わった、成長した部分だと思います。チームに貢献したと思えて、勝てた方がより嬉しいので」と、充実感が晴れやかな笑顔に表れる。
積み重ねてきたことがようやく実を結んだ。しかしシーズンはまだ3分の1を終えたばかり。松脇もこの後が大事なことは重々承知している。つい「これで良い気分で年を越せそうですね」と口走った筆者の言葉に、「いや、まだありますから。連敗を止めたことは大きいですけど、まだ1勝しただけなので」と松脇は表情を引き締めた。
「今日のようなエナジーを、常に全試合出した状態で戦って、次は琉球(ゴールデンキングス)ですけど、西(地区)の1位のチームに勝てばもっと自信につながると思うので、チャレンジャーの気持ちで戦いたいです」
(山田 智子 / Tomoko Yamada)