ロンドン五輪出場の佐藤冴香、満身創痍も…“最後の個人戦”に闘志 「バド人生の集大成」
最後の大会を有観客で戦えるのは「すごく幸せなこと」
「応援してくれた皆さんに見てもらって終わりたい」と今大会の有観客開催を信じて頑張り続けてきたが、身体は「結構、ボロボロ」(佐藤)。2か月ほど前には、左足の古傷を痛めた。
この試合、大きく深呼吸をしてコートに入った佐藤は、立ち上がりから得意の強打で得点。しかし、太ももからひざ下までテーピングをした左足は痛々しく、とても万全とは言い難い状況で、次第に動きは精彩を欠いた。翌27日の2回戦では、日本B代表の川上紗恵奈(北都銀行)と対戦する。「最後の個人戦なので。(今後も)団体戦はあるけど、バドミントン人生の集大成として、個人戦という気持ちが強い。なんとか(最後まで)持てばと思っている。間に合って良かった」と話すように厳しい状況だが、今あるすべての力をぶつけるつもりだ。
シングルスプレーヤーとして戦ってきた佐藤にとって、個人戦の挑戦を終えることの意味は大きい。その舞台は、全日本総合以外には考えられなかった。
「(最後は)絶対、この大会です。高校3年生から出させてもらった。日本一を決める、日本で一番大きな大会で、最後に、お客さんの前で終われるのはすごく幸せなこと。昨日も、寝る時に今までのことをすごく思い出した。辛かったことも負けることも多かったけど、怪我も乗り越えて30歳までできたことは、すごく幸せだなと噛み締めながら、明日は楽しもうという気持ちで寝たので、今日は本当に勝てて良かったです」
困難を乗り越えた先に選んだ大舞台で、個人戦最後の勇姿を見せつける。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)