[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

0秒03に泣いた最後の五輪挑戦 競泳・井本直歩子、それでも言える「幸せな競技人生」【THE ANSWER Best of 2021】

東京五輪の開催で盛り上がった2021年のスポーツ界。「THE ANSWER」は多くのアスリートや関係者らを取材し、記事を配信したが、その中から特に反響を集めた人気コンテンツを厳選。「THE ANSWER the Best Stories of 2021」と題し、改めて掲載する。今回は、1996年アトランタ五輪に競泳で出場し、引退後は国連児童基金(ユニセフ)の職員として長く活動している井本直歩子さんのキャリア。7月の前編は五輪挑戦を3度経験した競技人生で得たものについて。(文=長島 恭子)

自身の競技人生について語った競泳アテネ五輪代表・井本直歩子さん【写真:松橋晶子】
自身の競技人生について語った競泳アテネ五輪代表・井本直歩子さん【写真:松橋晶子】

「THE ANSWER the Best Stories of 2021」、ユニセフ職員としてのキャリア前編

 東京五輪の開催で盛り上がった2021年のスポーツ界。「THE ANSWER」は多くのアスリートや関係者らを取材し、記事を配信したが、その中から特に反響を集めた人気コンテンツを厳選。「THE ANSWER the Best Stories of 2021」と題し、改めて掲載する。今回は、1996年アトランタ五輪に競泳で出場し、引退後は国連児童基金(ユニセフ)の職員として長く活動している井本直歩子さんのキャリア。7月の前編は五輪挑戦を3度経験した競技人生で得たものについて。(文=長島 恭子)

【特集】“欽ちゃん球団監督”片岡安祐美の今 2度の流産を経て母に…思春期の後悔「生理に見て見ぬふりを」
(W-ANS ACADEMYへ)

 ◇ ◇ ◇

「私が目指すのは、男性らしさ、女性らしさにこだわらないフラットな社会、そしてスポーツ界です。ただ日本では、ジェンダーについての伝統的価値観が特に根強く、概念そのものが伝わりにくいと感じています。課題は多岐にわたりますが、あらゆる施策にジェンダー平等を重視する国際機関にいた経験が、アドバイザーを務めるうえで活きています」

 今年2月、東京五輪・パラリンピック組織委員会はジェンダー平等推進チームを設置。そのアドバイザーにユニセフの教育専門官、井本直歩子さんが就任した。

 井本さんは、かつて竸泳選手として、アトランタ五輪に出場。競技引退後、国会議員秘書やスポーツライターを数年経験した後、英国の大学院を卒業。その後約18年間、紛争地や災害被災地を転々とし、スポーツ界とはほぼ無縁の人生を歩んできた。

「不思議なことに、今は現役時代や20年前少し働いていた頃のつながりでほとんどが動いています。現在、ジェンダー平等やSDGsといったグローバルの課題に取り組んでいますが、広がっていくのはスポーツ界ばかりで驚いています。アイデンティティ・クライシスといいますか、私はこんなにもスポーツ界の人だったのか、また、スポーツに戻ったのか、という気持ちです」

 3歳のとき「ドボンとプールに飛び込まされた」井本さん。すぐに頭角を現し、幼稚園の卒園文集には『オリンピックで金メダルをとる』と書いた。

「生まれたときから運動神経がよくて(笑)、男の子にも負けなかった」井本さんは、小学6年時にジュニア五輪で学童新記録を更新。さらに同年、日本短水路選手権で3位入賞。多くの五輪選手を輩出する大阪のイトマンスイミングスクールから勧誘され、「自分で決めなさい」という両親の言葉に、「オリンピックに行くためには」と決心し、単身大阪へ。中学・高校と寮生活で水泳に打ち込んだ。

1 2 3

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集