[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

「恋できない病気かと思った」 元バレー選手、滝沢ななえが家族に同性愛を告白した日【THE ANSWER Best of 2021】

滝沢さんは母に伝えた日を振り返ってくれた【写真:宮坂浩見】
滝沢さんは母に伝えた日を振り返ってくれた【写真:宮坂浩見】

母に伝えた日の記憶「母なりにちゃんと、受け止めてくれたんだ、と」

 その後、滝沢さんは現役を引退。バレーボールコーチとして働いていた頃、当時のパートナーとの間で、同居の話が持ち上がった。一緒に住むのであれば、きちんとけじめをつけたい。滝沢さんは「母親に本当のことを言おう」と決めた。

【特集】“欽ちゃん球団監督”片岡安祐美の今 2度の流産を経て母に…思春期の後悔「生理に見て見ぬふりを」(W-ANS ACADEMYへ)

「やはり母に伝えることは、なかなかできませんでした。でも、当時の彼女とは、この先も人生を共にする相手だと思っていたので、『友達と一緒に住む』と誤魔化すのではなく、本当のことを伝えられたほうがいい、と思ったんです」

 とはいえ、いきなり顔を見て話す勇気は出なかった。考えた末、スマートフォンを手に取り、メッセージを送った。

『実は私は同性愛者です。パートナーの子と一緒に住むことになりました』。

 返事は、すぐに返ってきた。

「『そうなんだね。一緒に住むのであれば、あなたに覚悟が必要だし、相手に対する責任もちゃんと持ちなさい』というメッセージでした。電話がかかってきて、あれこれ言われたらどうしようかと思っていたので、ホッとしました。

 言葉は少なかったけれど、不安に感じることは全くなくて。母なりにちゃんと、受け止めてくれたんだ、と感じました」

 兄弟姉妹には彼女を「一緒に住んでいる友達」と紹介し、家族との食事会に、彼女が同席することもあった。姉や妹たちにも、自分の彼女をパートナーとして扱ってほしい……。そんな気持ちを抱きながら。

「私にとって、彼女は家族。だから、『一緒に住んでいる子』と思われることは、複雑でした。私の家族にも家族と思って欲しいし、姉が『私の旦那さん』と自然と紹介するのと同じように、接していけたらいいな、って」

 当時は20代後半。結婚の早かった妹からはたびたび、「結婚はしないの?」「子供がいるっていいよ」と言われたが、彼女との関係性を偽ることで、会話がたどたどしくなっている自分を感じていた。ある日、『もう、家族には言ってもいいかな』と思い、母に意志を伝えた。

「でも、それはちょっと違ったようです。『そういう話は、色んな人に言うものではないよ』と言われました。母は私に、言葉では何も言わなかったけれど、その様子から思うところがあるんだな、と感じました。やっぱり母なりに、すごく葛藤していたのだと思います」

1 2 3 4

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集