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亡き友イェロヴァツに捧げる奮闘 Bリーグ三遠、10連敗も首位相手に浮上の兆し

豊橋市総合体育館は悲しみに包まれていた。12月5日、昨季三遠ネオフェニックスに所属していたステヴァン・イェロヴァツが脳卒中のために、32歳という若さで旅立ったからだ。

12月11・12日の千葉ジェッツ戦で追悼セレモニーが行われた【写真:SAN-EN NEOPHOENIX】
12月11・12日の千葉ジェッツ戦で追悼セレモニーが行われた【写真:SAN-EN NEOPHOENIX】

昨季所属のイェロヴァツが脳卒中で今月他界、千葉戦で追悼セレモニーを実施

 豊橋市総合体育館は悲しみに包まれていた。12月5日、昨季三遠ネオフェニックスに所属していたステヴァン・イェロヴァツが脳卒中のために、32歳という若さで旅立ったからだ。

 セルビア出身のイェロヴァツは、イタリアやスペインなどを経て、2020-21シーズンに三遠に加入した。同郷のブラニスラフ・ヴィチェンティッチ・ヘッドコーチ(HC)の下、正確無比なシュートを武器に52試合に出場し18.9得点(9位)、8.9リバウンドと活躍。フリースロー確率は89.5%でリーグ3位に入っている。

 今季はギリシャのAEKアテネでプレーしていたが、11月中旬、個人練習中に発作を起こして緊急搬送され、帰らぬ人となった。突然の悲報を受けた三遠は、イェロヴァツへの哀悼の意を込めて、12月11・12日に豊橋市総合体育館で行われた千葉ジェッツ戦で、アリーナに献花台を設置した。

「いつも明るい笑顔をありがとう」
「きれいな3ポイント、落ちないフリースロー大好きです」
「フェニックスでプレーしてくれてありがとう」

 わずか1年の在籍だったが、たくさんの花が手向けられた献花台、お別れや感謝の言葉で埋め尽くされたメッセージボードは、彼が多くの人に愛されたことを物語っていた。

 試合前には追悼セレモニーが行われ、三遠時代の背番号にちなんで31秒間の静かな祈りが捧げられた。同様にB1第10節のGAME1、B2第11節のGAME1の全試合でも黙祷が行われた。

「追悼セレモニーを見て、グッとくるものがあって、イェルカ(イェロヴァツのニックネーム)のためにプレーしようと思いました」

 昨季イェロヴァツとともに戦った津屋一球が語った通り、三遠は亡き戦友に勝利を捧げようと、東地区首位の千葉ジェッツにエナジー全開で立ち向かった。だが結果はGAME1は89-101、GAME2は80-87。昨季のリーグチャンピオンから白星を挙げることはできなかったが、GAME1は第3クォーター終了時点で65-68と食い下がり、GAME2は残り1分まで1点差と最後まで王者を苦しめた。

「イェルカの得意とする3ポイントシュートを僕が決めたいと思っていたので、決めることができて良かったです。3ポイントが持ち味であれば、しっかりと打ち切るということの大事さを彼から学びました」

 そう振り返った津屋は、2戦合わせて5本の3ポイントシュートをイェルカに捧げた。

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山田 智子

愛知県名古屋市生まれ。公益財団法人日本サッカー協会に勤務し、2011 FIFA女子ワールドカップにも帯同。その後、フリーランスのスポーツライターに転身し、東海地方を中心に、サッカー、バスケットボール、フィギュアスケートなどを題材にしたインタビュー記事の執筆を行う。

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