【ラグビー】悲願の花園出場なるか 震災復興支援活動が結んだ強豪校と元代表選手の絆
掲げた目標は「打倒・仙台育英」、石巻工業は悲願V達成できるか
「仙台育英を倒して花園に出場する!」
その宣言に対し、菊谷と小野澤は選手たちにこうメッセージを送った。
「この目標を立てたからには努力して達成しよう。そのためにできる限りのサポートをキヤノンイーグルスとしてする。そして何より、楽しんで練習に取り組んで欲しいと思う。嫌々練習に取り組んでいても自分のために全くならない。やらされるラグビーではなく、自分たちからやるラグビーへ。簡単じゃないけど、同じ選手たちとでもいい、コーチと一緒にでもいい。短い高校生活だと思うので、今この時間を絶対に無駄にしないで、楽しんで取り組んでいって欲しい」(菊谷)
「ラグビーは体が大きい相手が迫ってくると飛ばされてしまうかもしれない、というのと一緒に広いスペースを守っている分、抜かれるかもしれないという怖さもある。なので、相手に抜かれてチームに迷惑が掛かるという怖さとの戦いになってくる。1メートルという狭いスペースでの練習であればみんなできる部分はあると思う。しかし、広いスペースになると抜かれるかもしれないという怖さが生まれるからラグビーは難しい。しかし、その怖さをチームの手つなぎ鬼みたいなことの『安心感』で、少しでもファイトできる状態に持っていくことがチームとして必要なことだと思う。そういうことを意識しながら、僕は普段のチームトレーニングをしている。怖さは誰もが持っている。その怖さをみんなで排除してあげる。それがチームだと思います」(小野澤)
その後、菊谷、小野澤、そしてキヤノンイーグルスの選手たちの協力のもと、「花園出場」に向けて遠隔指導がスタート。迎えた宮城県予選では決勝へと駒を進め、またも仙台育英と激突することになった。
昨年は、仙台育英が前半だけで6トライを重ねるなど、52-0で圧勝。だが、約5か月間の遠隔指導に加え、厳しい練習を積んできた石巻工業の生徒たちも、きっと成長しているはずだ。菊谷、小野澤をはじめ、キヤノンイーグルスの思いを胸に、石巻工業は花園出場の切符を掴むことはできるのか。宮城県予選決勝は、23日11時からユアテックスタジアム仙台で開催。当日、菊谷も応援に駆けつける予定だ。
【了】
ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer