「別格」上野由岐子、マウンド外でも存在感 後輩投手陣へ助言「自分で対応しなさい」
藤田も上野から吸収「あれだけの投球をするにはたくさんの努力がある」
味方は5回に3安打3四死球で3得点。4-2の逆転に成功し、上野は3回無失点の濱村からバトンを受けた。ブルペンではセットポジションのグラブの位置を右腰の辺りにしていたが、登板後は正面にして微調整。「足場が全然違う。ブルペンは雨で滑りそうだったけど、マウンドは違った」と自分の感覚を頼りに対応した。
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直球は115キロを計測するなど1安打無失点。1奪三振無四球で危なげなく試合を締めた。
「自分がマウンドに上がれば、自分のやるべき仕事やる。もちろんみんなが期待している以上に自分もパフォーマンスを見せることを全うしたいと思う。選手として準備をすることを怠らないように。(登板のなかった)勝俣(美咲)も準備できていたと思う。誰が使われてもおかしくない投手陣。一人ひとりが名前を呼ばれた時にベストパフォーマンスをすることが投手陣として課題になる」
チームの信頼は揺るがない。岩渕有美監督は「多少(五輪の)疲れもあったけど、ベテランなのでしっかりリーグに合わせてつくってくれた」と話せば、藤田も「同じチームにいると、取り組む姿勢を見ていい投手だと思わせられる。あれだけの投球をするにはたくさんの努力がある。上野さんは別格だけど、浜村もいい投球をしていたので学んでいきたい」と吸収していく姿勢を見せた。
ソフトボールは東京五輪で3大会ぶりの実施。08年北京に続く実施2大会連続金メダルを獲得したが、24年パリでは正式種目から除外される。28年ロサンゼルスでの復帰が目標だ。東京五輪直前に代表から外れた濱村はテレビ観戦し、選手たちの活躍に涙したという。「めっちゃかっこよかった。みんながソフトボールって凄いな、かっこいいなと思ったと思う。一人ひとりが役割に徹してソフトボールを盛り上げていければ」
新型コロナウイルスの影響で後半開幕節は無観客開催となったが、テレビやインターネットの中継を通して競技の“熱”を継続させていく必要がある。最も注目を集める上野も投げ続ける覚悟を持つ。
「声援がない分、セットポジションの時のシーンとした感じが今までにない雰囲気を感じる。寂しさもあるけど、またみんなに球場に足を運んでもらえるように映像を通して楽しさを伝えていければ。もっともっとインターネットを通して、たくさん応援してくださる方の声を聞けたらいいと思います」
リーグは10月まで行われ、上位5チームが11月の決勝トーナメントを戦う。来年春には新リーグ「JDリーグ」が発足予定。次は7年後のロス五輪じゃない。“今”の国内リーグだ。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)