史上4人目連覇の内村航平、ロンドンとリオで違いも 偉業導いた“戦略”とは
リオデジャネイロ五輪の体操男子個人総合決勝で、内村航平(コナミスポーツ)が6種目合計92.365点をマークし、史上4人目となる連覇を飾った。今大会と前回のロンドン五輪での難度点(Dスコア)の合計は、ともに39.4。しかし内容に大きな違いがあった。
得意の鉄棒で逆転、再び頂点に立った内村
リオデジャネイロ五輪の体操男子個人総合決勝で、内村航平(コナミスポーツ)が6種目合計92.365点をマークし、史上4人目となる連覇を飾った。最終種目の鉄棒で完璧な演技を見せ、2位のベルニャエフ(ウクライナ)を0.099点差で逆転した。
今大会と前回のロンドン五輪での難度点(Dスコア)の合計は、ともに39.4。しかし内容に大きな違いがあった。
2位に1.659点の大差で勝ったロンドン大会は、6種目それぞれで難度の高い演技を目指した。鉄棒の6.9を筆頭に、一番低いあん馬でも6.3だった。当時23歳。男子体操選手としては絶頂期の年齢だけに、6種目全てで点を狙いにいくことが可能だった。
一方、27歳で迎える今大会はそうはいかない。筋肉疲労の大きい序盤のあん馬、つり輪、跳馬は全てロンドンよりも難度点を下げ、6.2にそろえた。その分は、残り種目でカバー。床運動を6.7→6.9、平行棒を6.4→6.8、そして鉄棒は6.9→7.1と上積みした。
内村が「もう次オレグ(ベルニャエフ)とやったら、絶対に勝てない」という大接戦の陰には、体力の浪費を抑えて得意種目で確実に得点する現実路線の効果があった。
【了】
ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images