【NBAバズ動画解剖】空中で180度クルッ! 驚異の“ノールック回転パス”は「ボディバランスが凄い」
米プロバスケットボール(NBA)はプレーオフに突入し、連日、トップ選手たちが世界最高峰のワザで競演している。「THE ANSWER」はプレーオフ期間中の特別企画「NBAバズ動画解剖」を始動。プレーオフ期間中に飛び出し、SNS上で“バズったプレー”を元日本代表・渡邉拓馬氏が独自の視点で解説する。第5回はNBA公式インスタグラムが8月20日に投稿し、13万件を超える「いいね!」が集まった「ノールック空中回転パス」だ。
「NBAバズ動画解剖」―プレーオフにSNS上で話題を呼んだ動画を渡邉拓馬が分析
米プロバスケットボール(NBA)はプレーオフに突入し、連日、トップ選手たちが世界最高峰のワザで競演している。「THE ANSWER」はプレーオフ期間中の特別企画「NBAバズ動画解剖」を始動。プレーオフ期間中に飛び出し、SNS上で“バズったプレー”を元日本代表・渡邉拓馬氏が独自の視点で解説する。第5回はNBA公式インスタグラムが8月20日に投稿し、13万件を超える「いいね!」が集まった「ノールック空中回転パス」だ。
【バズ動画はこんなプレー】西地区1回戦のジャズ―ナゲッツ第2戦、第3クォーター(Q)残り5分。ジャズのドノバン・ミッチェルがピック&ロールで左45度から一気にゴール下まで突っ込み、跳び上がり、シュートを狙った。しかし、ここからヘルプに来たディフェンスに対し、空中でくるっと回転。驚異の滞空時間から、そのまま背中側にフリーでいた右アウトサイドのジョージ・ニアンに鋭くパスを送り、3ポイントをアシストした。
身体能力が目を引く華麗なプレーだったが、渡邉氏が見たポイントとは――。
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ボディバランスが凄いのひと言です。ミッチェルはダンクで有名になった選手ですが、実際はオールラウンダー。身長もそこまで大きくないものの、跳躍力があって、アウトサイドもこういうパスもできる。凄く今っぽい選手です。
このプレーに関しては、まずここまで切り込めるピック&ロールが上手い。ゴベアのピックの角度も素晴らしいですが、その前にミッチェルがインサイドアウトのドリブルでディフェンスを振らせて、スクリーンしたディフェンスの逆に行ってしまったので、その隙を突いた。相手を抜いた時点で自分で打っても良かったけど、次のディフェンスがヘルプで上がってきました。
しかし、この時点でもう3ポイントを決めるニアンがコーナーでフリーでいることは分かっていました。自分で無理して打つより、オープンの選手に渡す方が確率が上がると思って切り替えた。ただ、凄かったのは空中でギリギリまで保持したことです。
跳び上がる時点で、自分でシュートも打てるし、回転する動きもできるようにジャンプしているように見えます。左足で踏み切り、背中をディフェンスにぶつけに行っている。結果的に左手で打つくらいのスペースしかなくなり、自分でシュートを打つのが難しくなった。そこで狙いを変えた。背後にチームメートがいると分かっていて、このジャンプにしたと思います。
これによりニアンをケアしていたポーターが詰め切る時間がなくなりました。一連の動きで完璧にナゲッツのディフェンスが引き付けられていた。1人でここまでディフェンスを引き付けられたら、このオフェンスは大成功と言えます。
ミッチェルはもう少しアウトサイドの確率が上がれば、もう一段上のレジェンドの仲間入りになると思います。ジャズは7戦目で負けましたが、十分に素晴らしいプレーヤー。レブロン、デュラント、若い選手ならレナード。次世代の核になる可能性を秘めた選手です。
ウォールも跳んで回転してレイアップに行くプレーをするし、こういう想像しないプレーをするのがNBA。今後も同じようなプレーがハイライトで見られるようになると思います。特に今シーズンは単にプレーするだけでなく、コロナ禍という社会的要素を背負ってプレーしている印象で、魂がこもったプレーが多い。今後も続くプレーオフで派手なプレーも増えると思います。
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まるで背中に目がついているかのように、見る者を魅了した鮮やかなアシストの裏で、一瞬の間にあったいくつかの状況判断と広い視野。これぞNBAというスキルが詰まったプレーだった。
(THE ANSWER編集部)