新型コロナ禍で直面 スポーツの“もう一つの危機”を「100円」で救う方法
新型コロナウイルス感染拡大により、ストップしていた日本のスポーツ界が少しずつ、動き出した。様々な競技で活動の見通しを探り、サッカーJリーグはすでにJ2、3が開幕、J1は4日に再開する。しかし、これでスポーツ界が危機を脱したというのは、早計な状況にある。“もう一つの危機”が、窮地に直面しているスポーツ団体の財源だ。
スポーツくじの販売が開始、各スポーツ団体の財源の支えに
新型コロナウイルス感染拡大により、ストップしていた日本のスポーツ界が少しずつ、動き出した。様々な競技で活動の見通しを探り、サッカーJリーグはすでにJ2、3が開幕、J1は4日に再開する。しかし、これでスポーツ界が危機を脱したというのは、早計な状況にある。“もう一つの危機”が、窮地に直面しているスポーツ団体の財源だ。
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要因として大きかったのは、サッカーのJリーグ、海外リーグの休止により、スポーツくじ(toto・BIG)の販売ができなかったこと。ただ、熱心にスポーツを応援しているファンでも、「なぜ、スポーツ団体の財源がスポーツくじの販売に関係があるのか」と思う人もいるかもしれない。だからこそ、改めて「日本スポーツとスポーツくじ」の関係について理解する必要がある。
スポーツくじで体験できるのは、最高12億円の当せんをかけた興奮だけではない。収益による助成が2002年から始まり、スポーツの普及・振興に役立てているというのは、広く認知されていること。多くの人が思いつくのは「グラウンドの芝生化」だろう。地域の施設で転んでも怪我しない、ふかふかな芝生の上でサッカーなどが楽しめる。しかし、これはあくまで一部だ。
19年10月までに配分された総額約1933億円のうち、グラウンドの芝生化を含めた「地域のスポーツ施設の整備」には約782億円を助成。近所にある競技や公園の施設設備、スポーツクラブで新しく置かれた機器にも、スポーツくじの収益がつながっているということもある。加えて「地域スポーツの普及」に約303億円が助成されるなど、使途は多岐に渡る。
熱心にスポーツを応援し、「強いニッポン」を求めているファンにとって、うれしいこともある。約796億円が使われてきたのが「スポーツの競技水準の向上」だ。サッカーをはじめ、各競技団体で才能発掘を目的とした育成年代の合宿、大会開催などに、スポーツくじの収益は利用されている。ファンが買った100円のくじが、日本スポーツの強化・発展に貢献する形でもあるのだ。