【甦るラグビーW杯】世界の記者が釜石復興に感動 震災から8年、見違える光景に「悲しい歴史があるが…」
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くのスポーツイベントが延期、中止を余儀なくされている。日本が元気を失いかけている今、振り返りたいのが昨秋のラグビーワールドカップ(W杯)だ。グラウンド内外で様々なドラマが生まれた大会の名珍場面を「甦るラグビーW杯」としてプレーバックする。今回は、2011年の東日本大震災で被災した釜石でのW杯初戦にスポットライトを当てる。岩手・釜石鵜住居復興スタジアムで行われたウルグアイ―フィジー戦。甚大な被害を受けた地が復興した姿を届け、世界の記者から「悲しい歴史があるが、素晴らしい場所」「輝かしい復興を遂げた」と称賛を集めた。
新型コロナ禍の今こそ「ONE TEAM」に―ラグビーW杯の名珍場面を連日回想
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くのスポーツイベントが延期、中止を余儀なくされている。日本が元気を失いかけている今、振り返りたいのが昨秋のラグビーワールドカップ(W杯)だ。グラウンド内外で様々なドラマが生まれた大会の名珍場面を「甦るラグビーW杯」としてプレーバックする。今回は、2011年の東日本大震災で被災した釜石でのW杯初戦にスポットライトを当てる。岩手・釜石鵜住居復興スタジアムで行われたウルグアイ―フィジー戦。甚大な被害を受けた地が復興した姿を届け、世界の記者から「悲しい歴史があるが、素晴らしい場所」「輝かしい復興を遂げた」と称賛を集めた。
世界ランク19位のウルグアイが同10位のフィジーに30-27で勝利し、16年ぶりのW杯白星という番狂わせを演じたフィールド。青い空に白い雲、緑の芝生が鮮やかに映えていた。ラガーマンたちは激しくぶつかり合った。勝利を手にした者たちは涙を流し、スタンドのファンとともに喜びを爆発。新日鉄釜石の全盛期を思わせる大漁旗がスタンドにたなびき、日本ファンも熱く盛り上がった。
鵜住居地区は釜石市の中でも最も被害が大きかった地区の一つ。国歌斉唱の前には東日本大震災の犠牲者に向け、訪れた国内外のファンが全員で黙祷を捧げた。ゴール裏のスタンドを埋める地元の小中学生の大声援もあった。ラグビーの街・釜石に鳴り響いた1万4025人の大歓声。目に映るもの全てが、8年前には想像もできなかった光景だった。
震災直後、鵜住居復興スタジアムの建つ地域は瓦礫の山だった。開催12都市の中で唯一新設されたスタジアム。この日の美しい姿に海外の記者たちも感動していた。元プロラグビー選手で、英公共放送「BBC」の「ワールドニュース」で司会を務めるタルセン・トレット氏は「なんと素晴らしい会場。悲しい歴史があるが、素晴らしい場所。今は再建している」と自身のツイッターに投稿。美しい街に感激した様子の動画付きでリポートしていた。
米格闘技メディア「Combate Americas」のコメンテーター、マキシミリアーノ・ブレトス氏は「2011年、日本のカマイシは地震と津波の被害を受けた。今日、輝かしい復興を遂げ、ラグビーW杯を主催する」。スタジアムの美しい緑の映った画面の写真をツイッターに投稿し、試合に注目していた。
英紙「テレグラフ」のギャビン・メアーズ記者は「もしW杯中にこの記事を読んでいるなら……。津波が1000以上の命を奪った8年後、カマイシがラグビーW杯到着へ準備」と、震災から試合開催までの歩みを紹介した記事とともに感想をツイッターに記していた。
日本選手権を7連覇した新日鉄釜石が本拠を置いたラグビーの街・釜石。まだ完全に復興が終えたとは言えないのかもしれないが、ラグビーW杯が開催されることは地域に大きな勇気とパワーを与えた。その歩みは世界の人々からも感動を呼んでいるようだった。
(THE ANSWER編集部)