成長期のジュニア選手が取るべき食事・栄養 偏食がある子どもはどう対応したらいい?
スポーツをする「成長期の子ども」に必要な食事とは
――育成年代はどのようなことに気をつけて栄養摂取をする必要があるのでしょうか?
「まずは、子どもが大人のスポーツ選手と同じ栄養摂取をしても同じ結果とはならないことをお伝えしたいです。成人と違い、子どもは右肩上がりで成長しています。身長も伸び続けていますし、筋肉・内臓・骨も成長の真っただ中。なので必要な食事量も質も大人とは違います。スポーツ選手である前に、人の成長過程だということを忘れずに身体づくりをしていく必要がありますね」
――具体的に、大人と違う「成長期の食事」とはどのようなものでしょうか?
「成長するためのエネルギーを摂取する必要がある、という点ですね。大人と比べて身体は小さいので、必要な栄養量も少ないと思われがちですが、子どもは生活を送るエネルギーとスポーツに必要なエネルギーに加え、成長するためのエネルギーも必要なのです。
保護者の方からは『成長するためにはどんな栄養が必要ですか?』『身長を伸ばすにはどうしたらいいですか?』などとよくご質問をいただくのですが、栄養素をバランス良く摂取するのが重要です、とお伝えしています。身体づくりも、チームスポーツと同じなんですよ。サッカーもゴールキーパーだけでは勝てないですよね。それぞれのポジションが力を発揮し連携して、初めてチームは機能する。身体もいろいろな栄養素が助け合い、形成されていますから。子どもたちにも理解しやすいよう『栄養もチームワークが大事なんだよ』と伝え続けたいですね。
――育成年代だからこそ知っておくべき、栄養の知識について教えてください。
「身長が伸びる時期であることを念頭に置いていただき、骨を作るための栄養摂取を意識してほしいです。身長は成長期の時期にしか伸びません。骨の強度や密度も形成されている最中です。骨は20歳頃を超えてからどうにかしようと思っても、どうにもできないんですね。そのため、成長期に十分な栄養を摂取できないと、骨が成長するポテンシャルのピークを低くしてしまう可能性があります。結果として骨折しやすい身体になってしまうことも。特に重要なのは中学生頃と言われていますが、基本的には20歳までは成長のチャンスと捉え、カルシウムやたんぱく質、ビタミンD、ビタミンKなどの骨を作るための栄養素は意識して摂取してほしいですね。
また、育成年代で意識して摂取してほしいのは『鉄』です。貧血になりやすい年代でもあるので十分な摂取が必要です。栄養は血液で運ばれるので、貧血になってしまうと身長の伸びや疲労回復、怪我の予防など、成長における全ての過程で支障をきたします。持久力が続かず、思うように身体が動かなくなってしまうんです。
他の選手と同じメニューをこなしているのになぜか自分だけバテてしまう。朝起きられない。朝身体がだるい。そんな症状があったら、貧血を疑ってもいいかもしれません。自分には持久力がないんだ、と思い込んでいた学生さんも貧血が治った途端、身体が軽くなった! と言って元気に走り回っていました。パフォーマンスを発揮するためにも、鉄とたんぱく質、ビタミンB12、葉酸、鉄の吸収率を上げるビタミンCは重要です」
――その他、成長期に気をつけるべきことはありますか?
「たんぱく質の取り方には気をつけたほうがいいですね。朝食はパンだけ。というのはよくあると思うのですが、昼食・夕食で足りないたんぱく質を取らないと不足してしまいます。かといって、最近は小・中学生がプロテインを飲んでいるケースも見受けられるのですが、食事をしっかり取っている場合、今度はたんぱく質ばかりに偏った栄養摂取になりかねません。やはりバランス良く食事をし栄養を取ることが、健康な身体づくりの基本ですね」