練習のやり過ぎがパフォーマンス低下に 専門家が見極める5つのポイントとは
練習に必要なのは明確な目標と客観的な指標
4偏った練習項目になっていないか。
毎日同じメニューになっていないか。ウォームアップドリルとしてキャッチボールなどは行うが、練習メニューや強度、量に変化がなく、毎日同じメニューの運動を繰り返すと、ストレスが同じ箇所かかり怪我の原因になったり、パフォーマンスが上がらないことにつながる。身体が大きくならないことがある。
5定期的な評価がなされているか。
選手の競技能力の評価はもちろん、筋肉量や体脂肪率なども重要な指標になる。体重だけでは、筋肉量が増加したのか、体脂肪が増加したのかが判別しづらいので、体脂肪率も測定することが大切。ただ測定誤差もあるので、同じ機器で、同じタイミング(練習前など)で測定することが望ましい。
(※発汗が多い季節や競技においては、体重測定は脱水の評価にも有効なので、練習前と練習後に実施することが望ましい。練習後に体重の2~3パーセント以上の体重低下が見られた場合には、脱水症状が出ており、給水のタイミングに注意が必要。その際にはミネラルの補給も重要なので、スポーツドリンク等の使用がおすすめ)
以上の5つの項目を理解して頂いた上で、以下のことに留意してもらえればと思います。
・練習する上で明確な目標を決める。
・練習は、メニューや強度などに注意して変化を持たせる。休養も必ず必要である。
・定期的に筋量と体脂肪率を測定して客観的な指標で評価する。
・身体の異常には早めに対応して、状況を確認する。
・筋量の低下や疲労による食欲低下、慢性的な痛みを発症している場合は、オーバートレーニングが考えられるので、練習メニューの改善など対策をとる。
最後に、団体競技においては、選手の個別管理は難しいかと思います。指導者の方は日頃より選手の動きに注意することも大切ですが、体重や筋量の変化に注目するのも、個々の状態を把握する上で良い指標になります。また、オーバートレーニングを予防するには、こうした評価項目を設定して対策することが、選手育成には大切だと考えます。
(石井 雅也 / Masaya Ishii)