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国際大会に必要な食事環境とは? 世界陸上で来日したスポーツ栄養先進国・アメリカの視点

アスリートのニーズに寄り添う食事環境が理想

 最後に、今回の大会における食事面で、さらに改善できる点があったかどうかを伺ったところ、

[1]グルテンフリーやハラルなど、アレルギーや宗教に配慮した料理は、他の料理とエリアを分けて提供してもらえると安心できる。

[2]プラントベースの料理を提供してもらえるとありがたい

 という2点をあげました。

[1]については、グルテンフリーやハラルに対応した料理に、アレルギー物質や特定の食材が混ざる恐れがあるためです。[2]は近年、世界的に植物性たんぱく質を好む選手が増えていることや消化に優れているという点から、大豆プロテインや植物性たんぱく質を使った料理のバリエーションがあると、選手たちの選択肢がより広がるとのことです。

 食事は競技力に直結します。キーン氏のコメントからも、そのスポーツの国際大会においては、誰もが安心して食べたいものを食べられる環境を整えることが重要である、ということがわかります。

 ベジタリアンやヴィーガン、ハラル、グルテンフリー等の食事を摂るのは、単なる「好み」ではなく、健康上の理由や宗教、さらには文化的な背景や信念に基づいています。

 今大会では、一部の外国人アスリートから、ベジタリアン向けのメニューがほとんどなかったことが指摘され、メディアでも話題になりました。参加するすべての国のアスリートの食のニーズに応えることは容易ではありません。しかし、ベジタリアンやハラルなど、多様な食文化への対応が十分とは言い難い今の日本においては、今後さらに工夫を重ね、アスリートのニーズに寄り添っていく必要があることも事実です。

 大会時はよい競技場やしっかり休める宿泊施設が大事なように、「食事環境を整える」ことは非常に重要です。選手たちがしっかり寝て、食べて、力を発揮すれば、観客も盛り上がり、結果的に素晴らしい大会につながる。そうしたポジティブな循環を生み出すために、誰もが喜ぶ食事を当たり前に提供できるようになることが望ましいと考えます。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

 国内における様々なスポーツの国際大会において、栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJリーグ横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~2025年)ほか、モーグル、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。ジュニア世代と保護者に向けてのスポーツ食講座なども行う。また、世界各国のスポーツ栄養士とのネットワークを活かし、海外における最新のスポーツ栄養の取り組みや知見を発信するほか、多様な食文化とアスリートの栄養ニーズを橋渡しする専門家として活動中。

Let’s Eat Healthy:https://members.food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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