通勤中に突然、襲ってくる腹痛… “お腹をこわしやすい人”に共通する食習慣とは
忙しく働く大人世代が日常のパフォーマンスを上げる方法を“食”から考える「THE ANSWER」の連載「働く人の食事術」。Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が日々のパフォーマンスを上げる食事術を指南する。
連載「働く人の食事術」―夏になるとアスリートでも増えるお腹の不調の改善法
忙しく働く大人世代が日常のパフォーマンスを上げる方法を“食”から考える「THE ANSWER」の連載「働く人の食事術」。Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が日々のパフォーマンスを上げる食事術を指南する。
夏になると、胃腸の不調を訴える人が少なくない。お腹をこわしやすい人はなぜ、そうなってしまうのか。橋本氏によれば、お腹の不調に悩む人には、食生活に同じような傾向がみられるという。その食習慣は何なのか。改善法も合わせ、助言してくれた。
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通勤中に突然、襲ってくる腹痛。お腹がゴロゴロする程度ならまだしも、途中下車をしてトイレに駆け込まなくてはいけなくなる場合もあり、「不安で朝食が食べられない」という方もいます。特に夏になると、お腹をこわす人は急増。実は夏になるとアスリートの間でも、お腹の不調を訴える人が増えてきます。
アスリートにとって、消化器官の不調は“たかが下痢”では片づけられません。お腹を壊すと練習や試合に集中できない、力が入らない原因になり、脱水症状になる可能性も高くなります。さらに、消化・吸収が低下しているため、食事をしっかり摂っても栄養が偏る、体重が2~3キロも減ることもあります。常にベストコンディションを維持し、練習や試合に臨まなければいけないアスリートにとっては深刻な問題です。
お腹の不調に悩む選手たちに、食生活について細かく質問をしていくと、皆、同じような傾向がみられます。
特に多いのは、冷たい飲み物を一気飲みする、から揚げ、焼き肉などの脂っこいものや、香辛料を使った刺激の強いものを好んで食べる、そして、ビールが大好き、という点。いずれも胃腸に強い刺激を与える料理や飲み物です。特に夏はこれらの条件が重なりやすい上、暑さによるストレスで自律神経のバランスも崩しやすいので、お腹の不調を訴える人が増える原因になります。
また、お腹の調子は、冷房による冷えや睡眠時間といった生活環境や習慣の影響も受けやすい。例えば朝食を食べるとお腹がゴロゴロするという人の場合は、前日の食べすぎ飲みすぎのほか、睡眠不足や疲労の蓄積が引き金になることもあります。食事とは関係ないところで多いのは「過敏性腸症候群」。緊張や不安といった精神的なストレスによって、腸が過敏になり腹痛を起こします。以前、通勤時に下痢で苦しんだ経験から、「朝食を食べるとまた下してしまう」という不安を抱える、プレッシャーの大きな仕事が待っているなども原因の一つになるようです。
食習慣や食事の内容の影響は大きく、食べ物を変えたり、食べ方を工夫したりするだけで、調子が良くなったケースはたくさんあります。食事の際、よく噛まずに飲み込む、冷たい物ばかり飲む、あるいは一気に飲むといったことが癖になっている方は、まずはそこから改めてみてください。冷たい牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする方も、牛乳を温めて飲んだり、ゆっくり飲んだりするだけで、症状が軽くなる、あるいはなくなる方もいます。